7月28日 物理学者パーヴェル・チェレンコフ誕生(1904年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

 1904年のこの日、ソ連の物理学者であるパーヴェル・チェレンコフ(Pavel Alekseevich Cherenkov, 1904-1990)がロシア西部のボロネジで誕生しました。

 

チェレンコフは彼の名を冠した「チェレンコフ効果」と呼ばれる発光現象の発見で特に知られています。

パーヴェル・チェレンコフ photo by Getty Images

生まれ故郷にあるボロネジ大学の物理数学科で学んだチェレンコフは、卒業後の1930年にソ連科学アカデミーのレーベデフ物理学研究所に入りました。

彼はそこで物理学者バビロフのもとで「液体中にγ線を照射することで液体が発光する」という現象についての研究を行ないました。

当初、彼は液体の発光をルミネセンス(基底状態に戻ろうとする物体が、吸収したエネルギーを光として放射する現象)によるものと考えていました。

液体中でのルミネセンスは液体中の不純物が原因で起こるものなので、彼は水を蒸留して不純物を少なくして実験を行いましたが、それでも発光が見られました。そこから、彼はこれがルミネセンスとは異なる現象であることを明らかにしたのです。

アメリカのアイダホ国立研究所で観測されたチェレンコフ放射光 photo by Argonne National Laboratory(CC BY-SA 2.0)

のちにイゴール・タムとイリヤ・フランクによってこの発光が「γ線のコンプトン効果によって作られた高速電子による電磁的なマッハ波」であることを突き止めました。

簡単に言ってしまえば、チェレンコフ効果は、照射されたγ線が液体中の電子と衝突し、電子が水溶液中の光速を超える速度で散乱された際に生じます。

飛行機が超音速で飛行するときにソニックブーム(衝撃波)を発生するように、電子(荷電粒子)が光速を超えて移動することによって生み出されるのがチェレンコフ放射光なのです。

のちにチェレンコフ効果と名付けられるこの現象の解明によって、チェレンコフ 、タム、フランクの3人は1958年のノーベル物理学賞を受賞しています。

ちなみに、チェレンコフ効果はγ線以外の照射によっても生じる現象で、たとえばカミオカンデやスーパーカミオカンデは、ニュートリノによって散乱された電子によるチェレンコフ放射光を観測に利用しています。