なぜ「ノストラダムス」は日本人の心をとらえたのか? 大ブームの正体

あぶり出された未来への不安と期待
岡本 亮輔 プロフィール

なぜ予言はあたるのか

ノストラダムスの予言はなぜあたるのか。その理由は単純で、ノストラダムスの原著『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』が抽象的な詩で書かれているためだ。

五島氏をはじめとするノストラダムス本の著者たちは、自分たちの目的と都合に合わせて、自由に解釈を施せるのだ。

1978年にもイタリアで、やはり教皇関連の予言が的中したと話題になっている。この時は、教皇ヨハネ・パウロ1世(1912〜78)が、在位後33日間で亡くなってしまった。

 

ノストラダムスの予言には「15年間在位の教皇の後、短期の教皇が数人交代する2年間がある」というものがある。先代パウロ6世の在位がちょうど15年間(1963〜78)であり、短命の教皇が続くのではないかという不安とともに、予言の噂が広まったのだ。だが実際には、次代のヨハネ・パウロ2世は2度の暗殺未遂を乗り越え、2005年までの長期に渡って教皇を務めたのである。

教皇関連の予言は、むしろノストラダムスの時代の権謀術数が渦巻くヴァチカンのあり方を反映したものだろう。

ノストラダムスが生まれた1503年には、ピウス3世が在位わずか26日で亡くなり、謀殺説がささやかれた。そして、その後継のユリウス2世は、直前まで対立していたチェーザレ・ボルジアと手を組んで教皇になり、就任するとすぐにチェーザレを排除した人物である。15、6世紀の教皇を見ると、在位期間が数年間というのは全く珍しくないのである。