なぜ「ノストラダムス」は日本人の心をとらえたのか? 大ブームの正体

あぶり出された未来への不安と期待
岡本 亮輔 プロフィール

高木の著書を皮切りに、五島氏の第1作から10年間で、ごく一部だが以下のような書籍が発売されている。

『ノストラダムスの大予言原典:諸世紀』たま出版、1975。
『ノストラダムスの予言した第三次世界大戦』パシフィカ、1980。
『地球の最期を予測する』三笠書房、1980。
『大崩壊:ノストラダムスの予言』講談社、1980。
『ノストラダムスの予言に対する反論 人類滅亡の危機を救う道』新世界連盟、1981。
『放浪の四次元:ノストラダムスの予言を解く』大陸書房、1981。
『巨大地震:地球大異変がやってくる!』三笠書房、1981。
『裏切られたノストラダムス:初めて明かされた予言の秘密』リヨン社、1982。
『ノストラダムス予言の構造』思索社、1982。
『新釈ノストラダムス』講談社、1982。
『ノストラダムスの遺言書』二見書房、1983。
『ノストラダムスのすでに日本の未来は決められている:10年後の日本の姿を知ることができる』投資ジャーナル、1983。
『ノストラダムスの聖予言 : 私はついに1999年以後の人類の運命を解読した! ジパング新世紀』集英社、1983。
『悪魔の啓示最後の審判:ノストラダムスが恐れた大予言!』二見書房、1984。
 

この中でも重要なのは『新釈ノストラダムス』だろう。

著者ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ(1935〜2010)はフランスの作家で、親子二代にわたるノストラダムス研究家だ。1980年末、フォンブリュヌは、同書(原題は『歴史家・予言者 ノストラダムス』)を上梓するが、当初はほとんど話題にならなかった。しかし、しばらくすると、同書で示されたノストラダムスの予言が的中していると話題になる。

その予言は「薔薇が花開くとき、汝と信者たちの血が流れる」というものだ。

1981年5月10日、フランスではミッテランを大統領に社会党政権が誕生するが、同党のシンボルが薔薇である。そして、その3日後、ヴァチカンのサン・ピエトロ広場で教皇ヨハネ・パウロ2世が狙撃されて重傷を負ったのだ。

その直後から『歴史家・予言者 ノストラダムス』は数十万部を売り上げ、フランスでも、日本に遅れること数年経ってからノストラダムス・ブームが起きたのである。