なぜ「ノストラダムス」は日本人の心をとらえたのか? 大ブームの正体

あぶり出された未来への不安と期待
岡本 亮輔 プロフィール

1974年5月には、同書を原案にした映画『ノストラダムスの大予言』の撮影も始まった。

東宝は前年に映画『日本沈没』を大ヒットさせており、ノストラダムスにも破格の5億円の製作費を投じた。日本沈没同様、考証のために学者を動員し、さらに原案が小説ではないため、人気作家の半村良もスタッフとして参加していた。

同年8月の公開直後、読売新聞に掲載された映画評では、「シラける子どもだまし」というタイトルで酷評されているが、興行成績としてはまずまずの結果を残し、さらに文部省推薦の映画にも選定されている。

 

フランスでもブームが起きた

第1作の大ヒットの後、五島氏は1998年までかけて全10作を手がけ、その累計発行部数は600万部超とも言われる。また、五島氏以外の著者によって、数えきれないノストラダムス本が刊行されてきた。

五島氏のヒットの直後、『ノストラダムス大予言の秘密 : 1999年7月はたして人類は滅亡するか!』(1974)が刊行されている。著者は、推理小説家の高木彬光だ。

高木はこれ以前にも占いや手相の本も出している。代表作『成吉思汗の秘密』や『邪馬台国の秘密』も歴史の定説を覆すタイプの作品であり、元々、オカルト方面への関心が強かったのだろう。