最後はつくばの本屋へ。
そして、コーヒーで脳を休めて。
最後に、つくばの人気書店〈PEOPLE BOOKSTORE〉を訪ねることにした。新刊から古本までジャンルレスに置く、この街のカルチャーの拠点。
店主の植田さんと鈴木さんは、メールでやり取りをしたことがあるが、会うのはこれが初めて。挨拶とひとしきりの会話を楽しんだ後、鈴木さんは真剣な面持ちで店内を見始めた。書店員として、本好きとして、やっぱり熱が入ってしまう。数冊の本を買い、店を出てぽつり。
「つくばの人が羨ましい……」
いい本屋がある街は、またいつか来たくなる。つくばの知性を根っこで支えているのは、きっとこんな日常に溶け込む、いい本屋なのだ。
気づけば、とっぷりと日が暮れている。フル回転した脳を休めるため、植田さんに教えてもらった〈コーヒーファクトリーつくば本店〉を訪ねた。閉店ギリギリ。温かなコーヒーにゆるゆると頭が解けてゆく。
「今日1日で、どれくらい新しいことを学んだんだろう。正直もう、これ以上は何も覚えられない!(笑)というくらい脳を使ったけど、不思議と心地よい疲れです」
ひとつの土地を旅しているのに、そこからぐんぐんはみ出た思考になれたことが、なにより刺激的だった今回の旅。大人の社会科見学は、脳のトレーニング。時にはこんな風に、許容量いっぱいまで、新しい世界を吸収してみるのもいいものである。
PROFILE
鈴木美波 Minami Suzuki
本と編集の総合企業〈SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS〉の営業本部マネージャー。4月にオープンする新店舗、虎ノ門〈SPBS TORANOMON〉、豊洲〈SPBS TOYOSU〉の開店準備に奔走中。
●情報は、2020年3月現在のものです。
※本記事内の価格は、すべて税込み価格です。
Photo:Norio Kidera Text:Yuka Uchida Edit:Chizuru Atsuta