宇宙、科学、環境。未知なる専門分野に触れてみる。大人になると、そんな社会科見学のような旅が新鮮です。本屋〈SPBS〉のマネージャー鈴木美波さんが向かったのは研究学園都市、茨城県つくば市。脳をフル活動させる、知の冒険へいざ!

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科学万博の記憶。
35年前の熱狂を追体験。

〈つくばエキスポセンター〉にはH-Ⅱロケットの実物大模型が。/つくばエキスポセンター 茨城県つくば市吾妻2-9 ☎029-858-1100

〈つくばエキスポセンター〉に着くと、建物の隣に巨大なロケットが立っていることに気づいた。

「あれってH–Ⅱロケットですよね?」と鈴木さん。さっきJAXAで教えてもらった日本初の純国産ロケットH–Ⅱの実寸大レプリカが、垂直に立った状態で屋外展示されていたのだ。知ったばかりの知識が口をついて出てきたことに照れつつも、なんだか勉強の成果が現れたようで嬉しい。

ロケットの脇を通って館内に入ると、レトロフューチャーな無数の丸いライトに照らされたロビーがあり、その奥の展示ゾーンに、万博当時の展示物が今も残っていた。

プラズマボール。科学が進歩していてもワクワクできる展示。

「これ、おもしろい!」と鈴木さんが反応したのが、プラズマボール。ガラスボールの中に、紫色の小さな稲光が揺らめいている。ガラスに手を当てると、その稲光が手の平に吸い寄せられ、まるで魔法使いになったようだ。

「小学生に戻った気分。単純な仕掛けなのについつい楽しくなっちゃう」

ARやVRが物珍しくなくなった現代でも、こんなにシンプルな科学の原理で人はワクワクできる。

つくば万博のメモリアルコーナーで、鈴木さんは一層興奮。オフィシャルの制服や田中一光がデザインしたシンボルマークのグッズ、鈴木さんが神保町で手にしたパンフレットもショーケースの中に並んでいた。

宇宙を感じたり、未来を想像したり。つくばに来てから、思考のスケールがどんどん広がっていく。

JAXAや〈つくばエキスポセンター〉では宇宙食をお土産に。スペースカレー¥540、宇宙白飯¥430。

「普段意識しないようなことばかり考えているから、脳がオーバーワーク気味(笑)。でも、まだ行きたいところがあるんです」と鈴木さん。

筑波実験植物園ではサバンナ温室をじっくり見学。不思議な形の植物があちこちに。異国にワープしたような風景。/筑波実験植物園 茨城県つくば市天久保4-1-1 ☎029-851-5159

目指したのは〈筑波実験植物園〉。国立科学博物館の施設で、世界から集められた3000種類を超える植物が一般公開されている。この日はちょうど、ショクダイオオコンニャクという、世界最大級の花が開花している様子を見ることができた。大人も子どもも顔を近づけて、インドネシアのスマトラ島だけに咲くというその花を、熱心に眺めていたのが印象的だった。

日本の代表的な植物の他に、熱帯や亜熱帯、乾燥地域などの約3000種類が観察できる。敷地は14ヘクタール。1日いても見飽きない。

植物園を出ようと歩いていた時、見知らぬおじさんが高揚した雰囲気で話しかけてくれた。

「あの大きな花を見たかね? スマトラ島なんて遠い場所でしか咲かない花をつくばで見られるなんて、本当にラッキーなことだよ」

初めて見るものに素直に感動するその姿は、微笑ましくもあり、眩しくもあった。鈴木さんの「いくつになってもワクワクしていたい」という一言がよみがえった。