宇宙、科学、環境。未知なる専門分野に触れてみる。大人になると、そんな社会科見学のような旅が新鮮です。本屋〈SPBS〉のマネージャー鈴木美波さんが向かったのは研究学園都市、茨城県つくば市。脳をフル活動させる、知の冒険へいざ!
国際宇宙ステーションの
実験棟『きぼう』に潜入!
JAXAの内部をさらに進むと、巨大なシルバーの円筒が現れた。国際宇宙ステーションにある、日本の実験棟『きぼう』の実物大モデルだ。国際宇宙ステーションの広さは、サッカーの公式コートとほぼ同じ。そこに最大サイズの実験モジュールとして合流した『きぼう』。それが2009年のことなので、もう10年も宇宙空間の実験の場として活躍していることになる。
「ここで何をするんですか?」
鈴木さんの質問は子どものようにストレートになってきた。社会科見学に気恥ずかしさは不要! 答えてくれる先生がいるのだから、知りたいことはどんどん聞くべしだ。
「宇宙飛行士の仕事は多岐にわたります。各分野の研究者から、宇宙空間で実験してみたいことの要請があるんです」と小野さん。新薬開発のための実験もそのひとつ。対流や沈殿がない宇宙空間では、きれいなタンパク質の結晶をつくることができ、その構造を調べることが新薬の開発に役立っている。
『きぼう』には宇宙空間に物を出し入れできる、エアロックというシステムもあり、これは『きぼう』にしかない設備。ここから小型衛星を放出するなど、他国もエアロックを利用している。つまり、『きぼう』を運用するのは日本人だけではない。今の滞在クルーに日本人宇宙飛行士はいないが、実験棟『きぼう』はさまざまなミッションに活用されている。
「そうか、宇宙ステーションの中には国境がないんですね。宇宙飛行士さんたちは、人類として協力し合っている。それって素晴らしい」
JAXA見学の最後は『きぼう』運用管制室。一日3交代制、24時間体制で『きぼう』を監視し、その維持管理を行っている。この日は幸運にも、宇宙飛行士・大西卓哉さんの姿が。大西さんは管制室の隊長・フライトディレクターに就任、今後はここで勤務する日もあるそうだ。実際に宇宙飛行士にも会うことができて鈴木さんもご満悦。外に出て空を見上げると、その先に、自然と宇宙を想像できるようになっていた。