直近数年程度にわたり、世界の株式市場の中で今までの投資の常識を根底から覆す事象が起こっている。端的に言えば、「割安株が売られ、割高株が買われる」という現象が延々と続き、それが新型コロナウイルス(以下、コロナ)の流行とともにさらに深刻化しているのだ。
具体的には、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)といった伝統的な投資指標に基づき、PERおよびPBRが低い株を買う(高い株を売る)と、投資のパフォーマンスが悲惨な結果となるという現象である。
これは、東証一部上場銘柄(約2200銘柄)のうちで証券会社のアナリストによるコンセンサス業績予想が取得できる約1300銘柄を母集団とし、PER(またはPBR)の低い5分の1の銘柄を買い、同指標の高い5分の1の銘柄を空売りした場合のパフォーマンスを月次で累積したものだ。つまり、割高株の方が割安株よりも延々と高いリターンを生み出し続ける「モメンタム(グロース)効果」が圧倒的に優勢だということになる。
この結果は、業種問わず東証一部の銘柄全体を対象としたものだが、業種特性を考慮しても結果はほぼ変わらない。
2016年後半は、米大統領選によるトランプ氏の勝利によって一時的に強く逆転現象が発生したが、それ以降は再び淡々と効果を失い、足元で一気にその効果を下押ししている。