コロナ相場のウラで、日本株の「常識」をぶっ壊した「黒幕」のヤバい正体

割安株が売られ、割高株が買われる…
大川 智宏 プロフィール

マグニチュードの「温度差」

そこで、今回様々な仮説を検証してみたところ、一つのそれらしい結論にたどり着いた。需給としての世界の過剰流動性と、株式市場の特性としての銘柄間の成長性のギャップがモメンタム効果を促進する、グロース・ギャップ効果がそれである。

以下、検証と結果について簡単に説明していく。今回は、最も一般的な指標でイメージの湧きやすい純利益をベースとしたPERを例として使用する。

まずは需給だ。過去10年程度で世界の金融市場で共通して発生している事象に、大規模な金融緩和による過剰流動性相場がある。前回の金融危機以降、10年以上にわたって先進国を中心に大規模な量的緩和政策がとられ、いわゆるカネ余りの状態を加速させてきた。特に、コロナ禍による直近の流動性の拡大は、今までに例がないほど急峻な坂を描く。

図:日本、米国の過剰流動性指標(M2/名目GDP)の推移

日本、米国の過剰流動性指標(M2/名目GDP)の推移 出所:内閣府、FRB、Datastream
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2008年のリーマンショックとそれ以前では拡大のスピードが明らかに異なり、淡々と流動性を供給してきたことが分かる。また、2017年から一時的に引き締めへと転換した米国と比較して、日本はアクセルを緩めることなく拡大を続けたため、足元の日米のマグニチュードの違いはこの温度差が原因だろう。無論、流動性が増えればその一部がリスク資産としての株式市場へと流れ込みやすくなる効果が生まれる。

そして、この日本の過剰流動性と先ほどのPERの投資効果と比較したものが、以下の図である。なお、GDPのデータは四半期基準のため、それ以外の月次の期間は前月同値で穴埋めしている。

図:日本株の過剰流動性とPER投資効果の推移
日本の過剰流動性とPER投資効果の推移 出所:内閣府、Datastream
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トランプ相場による反転の期間を除けば、多くの局面で流動性の拡大とともにPERの投資効果は股裂きとなり、足元のコロナ禍に伴う急拡大局面と同期しながら一気にモメンタム効果が発現していることが分かる。