コロナ相場のウラで、日本株の「常識」をぶっ壊した「黒幕」のヤバい正体

割安株が売られ、割高株が買われる…
大川 智宏 プロフィール

「割安株投資」にいま起きていること

そもそも、PERやPBRが低い株のパフォーマンスが良好となる効果は、ファーマ・フレンチの3ファクターモデルなどの有名な実証研究(特にPBR)とその後付けの解釈が理論的な背景として存在する。詳細はここでは触れないが、この効果を検証した実績を含め、ユージン・ファーマは2013年にノーベル経済学賞を受賞しており、それほどに金融業界では「割安株投資は利益を生む」のが疑う余地のない常識として深く広く根付いてきた(彼がノーベル賞を受賞した直後から急激に効果を失ったのは皮肉でしかないが)。

また、定性的にも、PERの分母にある利益の価値が100円で一定だとして、分子の株価が1500円、2000円と高くなるほど投資対象の魅力度が減るのは当然だ。

つまり、ここ数年の事象は、株式市場だけではなく、世間一般の「価格」に対する常識を根底から覆すものである。また、この割安株効果を主戦略としたファンドも世界中に星の数ほど存在していたことから、多くの機関投資家がパフォーマンスの急激な悪化によって退場を余儀なくされてしまった。そして、それが現在まで延々と続いている。

 

では、この異常事態の原因は一体何なのだろうか。無論、これには様々な要因が複雑に絡み合う。2008年のリーマンショックから2012年の欧州債務危機まで続いた金融危機によるリスク回避傾向の高まり(割安株は何かしらの理由で売られたため、高リスクな投資対象は避けられやすいという考え方)、テクノロジーの発達にともなう情報格差の縮小(割安、割高という概念は将来的な成長予想に関する情報格差によるミスプライスが原因という考え方)など、そのどれもが正しいように思われ、一義的に特定はできない。

とはいえ、前者のリスク回避傾向は、コロナ前の数年間の好況を考えれば矛盾があり、強い経済成長を前提とすればリスクに見合った利を生んでしかるべきだ。後者も、情報格差が是正されたのならば、割安株への投資効果はフラットになるはずで、あえて割高な株を買い続ける理由にはならない。

つまり、それ以外の何らかの要因がこの割安株効果を減退せしめていると考えるのが自然だろう。