キャストも脚本も主題歌もすごすぎる

文/FRaU編集部

金曜10時から放送のドラマ『MIU404』(TBSテレビ)で主演の星野源さんが演じるのは、初動捜査を扱う警視庁芝浦分駐所の「第4機動捜査隊」に配属された志摩一未だ。志摩はかつて捜査一課でも優秀で有名だったが、「何か」の理由があって異動となり、「4機捜」で、別の署で問題児だった伊吹藍とバディを組む。伊吹藍を演じるのはW主演の綾野剛さん。伊吹を純粋で足が速くて行動力と直感がすごい「野生児」だとしたら、志摩は冷静沈着で頭脳明晰な「理性の人」だ。

制作陣は2018年に放送され大ヒットしたドラマ『アンナチュラル』チーム。ふたりのほかに麻生久美子さん、岡田健史さん、橋本じゅんさんなどすべての出演者が魅力的で、第4話ではラストに菅田将暉さんまで出てきてSNSで大騒ぎになった。野木亜紀子さんの脚本も見事だし、主題歌は米津玄師の「感電」で、このMVの再生数は公開からわずか1時間50分で100万回越え。もはや「ワクワク」以外の言葉がみあたらない。

大ヒットした当たり役を
新ドラマ直前に思う存分見せるスゴさ

その中でも、多くの人がこのタイミングで「星野源ってスゴイ」を再確認したのではないかと思う。なぜなら、『MIU404』放送直後まで、同じく野木亜紀子さん脚本で新垣結衣さんが主演した大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)が『逃げるは恥だが役に立つ ムズキュン!特別編』となって火曜日に放送されており、多くの人がどっぷりつかっていたからだ(厳密には6月30日までに1話~7話が火曜日に放送され、残りは土日に放送された)。

一応説明をすると、『逃げるは恥だが役に立つ』で星野源さんが演じた平匡さんは、不器用で自己肯定感が低くて真面目な「30代童貞」。「家政婦」として雇ったみくり(新垣結衣)と「契約結婚」をするが、お互いへの好意を言えずに暮らし……という物語だ。単なる恋愛物語では決してなく、結婚とは何か、孤独とは何か、ジェンダーとは、家事労働とは、仕事とは何かなど、語り始めたら止まらなくなるような問題が見事に描かれた傑作。あまりに星野さんが平匡さんにハマりすぎて、星野さんと平匡さんを同一人物のように感じた人も少なくなかったという。まさに「当たり役」だといえる。

(C)海野つなみ/講談社『逃げるは恥だが役に立つ』より

ただ、当たり役というのはヒット作であればあるほど難しい一面もある。『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフも、『ホームアローン』のマコーレー・カルキンも、あまりに当たり役すぎて苦労していた。見る側はその俳優をその役として見てしまい、別の役を演じても「えっ、ハリー、どうしちゃったの?」と、物語に入りこむ前のワンクッションが置かれるリスクが生じるからだ。

しかし、当たり役から距離を置くどころか、『逃げるは恥だが役に立つ ムズキュン!特別編』は、ガッキーと星野さんら出演者によるリモート恋ダンスまであって、サービス精神も満載だった。つまり、視聴者に平匡さんのキャラクターの星野源をたっぷりお披露目したその直後、『MIU404』の志摩役を見せたのだ。
星野さんはそのリスクをたやすくひょいと乗り越えた。

加えて言えば、綾野剛さんが主役のサクラを、星野源さんが四宮を演じた『コウノドリ』も4月から5月上旬まで数回にわたって「傑作選」として再放送されていた。『逃げ恥』ほどに『MIU404』放映に近くはなかったにせよ、やはり綾野剛さんの力のすごさも感じさせてくれた。

最強のコンビをはじめとする魅力的な出演者と制作陣、そして絶対的に面白い物語がセットになったときのパワー。それを私たちは『逃げるは恥だが役に立つ』でも『MIU404』でも感じることができるのだ。

改めて海野つなみさんの漫画コミック『逃げるは恥だが役に立つ』を読み返してみると、さらに「星野源のすごさ」もわかるのではないだろうか。
 

\『逃げるは恥だが役に立つ』第1話/

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森山みくり、 彼氏なし。 院卒だけど内定ゼロ。派遣社員になるも派遣切り。 見かねた父親のはからいで、父親の元部下で独身の会社員・津崎平匡さんの家事代行として働き始めた。良好な関係を築くも、みくりの実家の都合で辞めなくてはならないことに。 そこで、現状を維持したいふたりが出した結論は、就職としての結婚(契約結婚)だった。ひとつ屋根の下、秘密と妄想(?)の生活が始まる……!

海野つなみ/8月9日、しし座生まれ。B型。兵庫県出身。1989年、第8回なかよし新人まんが賞入選の『お月様にお願い』で「なかよしデラックス」(1989年秋の号)よりデビュー。TVドラマ化もされた『逃げるは恥だが役に立つ』で第39回講談社漫画賞受賞。2017年に完結した『逃げるは恥だが役に立つ』だが、約2年の時を経て続編がスタート。現在、「Kiss」にて連載中。

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