# 香港

香港人が『カードキャプターさくら』に片想いしてる…ってどういうことだ?

香港アイデンティティと作品の関係
銭 俊華 プロフィール

2018〜2019年に展覧会「カードキャプターさくら展――魔法にかけられた美術館」が東京と大阪で開催された。シャオランは展示や音声ガイドやグッズなどに登場したが、彼の出身地である「香港」については、人物関係図に「香港から引っ越してきたさくらの同級生」という記載はあるだけで、ほかには言及されていなかった。

「カードキャプターさくら展」公式サイトより
 

1998年に公開された『劇場版カードキャプターさくら』は香港を舞台に物語を展開していたものの、展覧会の様子を見ると、「香港」という表象は製作陣にとって神秘的な雰囲気を作る舞台装置としては重要そうではあるが、日本人ファンにとっては「香港」はそれほど重要ではない設定であるように映る。

日本と香港の関係について研究をする現在の私にとって『CCさくら』における「香港」が気になるのは当然のことであるが、そこには学術的な興味のほかに、「香港」の存在を感じて嬉しい、という気持ちが確かに含まれている。が、こうした嬉しさは、子供の頃はそこまで感じていなかった。香港人が抱く「作品に香港の存在を感じられて嬉しい」という気持ちは徐々に高まってきたように感じられるのだ。

2018年のアニメ版「クリアカード編」には、「香港」の表象が、20年前より頻繁に登場するようになった。第9話「さくらのドキドキ水族館」はFacebookで注目を浴びた。さくらとシャオランが水族館デートをするのに当たって、香港から転校してきたさくらの同級生で、シャオランの従妹でもある李苺鈴(リ・メイリン、以下メイリン)がシャオランに送ったメールが話題になったのだ。

携帯の画面には、「出嚟約會、就要做好我嘅護花使者啦、唔好咁怕丑」という文字が描かれており、「デートなんだから、ちゃんとエスコートすること! 照れてばっかいないで!」と日本語の字幕が出ている。

途中で、さくらとシャオランは道に迷っている外国人カップル(白人の英語話者)に遭遇し、シャオランは自分から「Do you need any help?」と尋ね、流暢な英語で案内をした。さくらは「シャオランくん英語しゃべれるんだね!?」と驚き、シャオランは「香港にいたからなあ」と答える。