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香港人が『カードキャプターさくら』に片想いしてる…ってどういうことだ?

香港アイデンティティと作品の関係

日本のアニメの記憶

2019年6月から現在まで、日本で会う人はみんな「香港は大変ですね」と、香港出身の私に言ってくれる。香港は確かに「大変」だ。この場合の「大変」とは、「苦労」と「困難」のさなかにあるという意味だけではなく、「大きな異変」が起きているという意味でもある。

周知の通り香港では、大規模デモと新型コロナウイルスに続いて「香港国家安全維持法」(国安法)が施行された。

もし国安法が施行された7月1日に、『産経新聞』が1面で書いたように、香港は本当に「死んだ」としたら、過去10年の香港は風前の灯であったはずだ。そして現在迎えている「死」の間際に、自由な社会で享受してきた様々な喜び――とりわけ文化的な喜び――を頭に思い浮かべていたはずだ。

香港の映画、ポップソング、ドラマをめぐる思い出は、過去の安定して自由な香港の影と重なっているだろうが、いっそう注目すべきは、長年放送されていた日本のアニメも、香港人にとって、「昔の香港」を想起させるような、世代を超える大切な記憶になっているということである。

香港の「死」の間際に、『ドラえもん』や『ポケモン』などの日本アニメが、確実に多くの香港人、特に若い世代の頭に思い浮かんでいたのだ。なかには、今さらやっと気づいた、少しだけの香港から日本への「片思い」もある。その「片思い」を象徴するアニメが『カードキャプターさくら』である

 

『カードキャプターさくら』が描く「香港」

香港との縁が深いアニメに一つに、『カードキャプターさくら』(香港訳名:百變小櫻Magic咭。以下『CCさくら』と略す)がある。2000年にTVBは『CCさくら』の「クロウカード編」と「さくらカード編」を合わせて70話を放送した。そして2018年、20年ぶりの新作である「クリアカード編」の22話も同放送局によって放送された。

『CCさくら』には、李小狼(リ・シャオラン、以下シャオラン)という香港から転校してきたキャラクターが登場する。主人公と一緒に戦い、恋人にもなった、とても重要な人物である。