ビジネスで「怒り」は禁物

もうひとつ、ハーバード・ビジネス・スクールのMBA保持者であるアメリカ人上司に教えてもらって忘れられないことがある。それは「怒っているときにメールを書いてはいけない」ということ。ビジネスの場では決してエモーショナルになってはいけない。怒りが落ち着いてからメールを書けと説かれた。

そう言えば、ニューヨークでは新卒から働いたのだが、アメリカ人の上司たちに注意はされたことはあるが、くどくどと怒られた記憶はない。「あ、今イラッとしているかも」「怒っているなぁ」と感じた瞬間は当然何度もあったのだが、彼らは部下を叱責したり、怒鳴ったりすることは絶対にしなかった

それは、職場におけるハラスメントが即解雇につながるというアメリカの風潮もあるだろうが、「エモーショナルになるヤツはメンタルが弱い」「部下がデキないのは上司のマネージメントスキル不足」という共通認識があるからだと思う。

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そんなことを言うと、ニューヨークの職場はフレンドリーで働きやすいと思うかもしれないが、実は日本よりもずっと過酷な競争社会だった。確かに先輩・後輩のような縦関係がないのは楽だったし、基本的にユーモアが大切とされている企業文化なので皆とおしゃべりしながら仕事をするのは楽しかったが、部下の人事権を上司が掌握している場合が多いので、上司に「できないヤツ」と認識されて昇進(=昇給)できなかったり、クビになったりするのが一番の恐怖だった。上司が変わるたびに組織編成もされるし、本当にいつクビになるのか分からないのだ。

だから、上司に「なぜ、うまくできなかったのか」という問いかけをされたときに、その理由を簡潔に答えるだけではなく、解決方法や改善方法も瞬時に、ロジカルに説明しなければいけないことが非常にストレスだったように思う。

「頑張ります」や「これから気をつけます」が一切通用しないアメリカでは、話すのも書くのも、簡潔で合理的でなければいけないのだ。海外出張がなくなったコロナ下では、英語でビジネスメールを書く機会が増えた人もいるだろう。この機会に自分の英文メールの合理性を見直してもよいかもしれない。