7月 25日 うま味調味料の日

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

今日、7月25日は、日本うま味調味料協会によって「うま味調味料の日」に制定されています。これは、1908年7月25日に、化学者の池田菊苗(いけだ・きくなえ、1864-1936)によって「グルタミン酸塩を主成分とする調味料製造法」が特許化されたことにちなんでいます。

池田菊苗

池田菊苗は薩摩藩士の次男として京都で生まれ、帝国大学理科大学化学科(現・東京大学理学部化学科)ではのちに義理の兄となる櫻井錠二(1858-1939)に学びました。1896年には助教となり、3年後にはドイツに留学します。

彼の目的は、硝酸の工業的製造法を発見して1909年のノーベル化学賞を受賞するヴィルヘルム・オストワルト(Friedrich Wilhelm Ostwald、1853-1932)に学ぶことでした。また、一時的にロンドンに滞在した際には、夏目漱石(1867-1916)と同じ下宿に住み、互いに刺激しあったといいます。

 

帰国した菊苗は日本に物理化学という分野の基礎をもたらすとともに、幼少期から気になっていた昆布のだしのうま味を突き止める研究に着手します。これを通じて、滋養があってしかも美味しい食により栄養補給に貢献したいという願いもありました。

そして1907年、38kgもの昆布から煮汁をとってL-グルタミン酸ナトリウムがうま味の正体であることを発見します。L-グルタミン酸はそのままでは酸味を持っていますが、ナトリウム塩になるとうま味を持つようになるのです。この発見から、菊苗は特許庁によって十大発明家の一人に数えられています。

ふだん何気なく取っている昆布だしも、その正体がわかるとまた違って見えてくるかもしれない Photo by iStock

さらに特許取得後、菊苗は鈴木製薬所の代表だった二代目鈴木三郎助(1868-1931)に事業経営を委託します。すると鈴木はこれを「味の素」と名付けて商品展開しました。これが、現在の味の素株式会社の起源です。

こうして生まれたうま味調味料ですが、「化学合成品ではないか」などの多くの誤解が絶えません。その誤解をなくし、よりよくうま味調味料を理解してもらうために、「うま味調味料の日」は制定されているのです。