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世界で加速する「新型コロナワクチン開発競争」の危うい実態

先頭争いをする英・米・中の特徴

新型コロナウイルスのワクチン開発が世界的に加速している。先日、英オックスフォード大学などが開発中のワクチンが臨床試験(治験)で良好な成績を収め、上手くいけば今年9月にも医療機関等への供給が始まる予定と報じられた。

これを筆頭に、世界では現在165種類以上のワクチンが開発途上にあり、少なくとも27種類が人に投与する臨床試験段階に入っている。その一方で、一部の国が実用化を急ぎ過ぎる事への懸念も聞かれる。

英国は大風呂敷を広げ

一般にワクチン開発はまず動物実験、次に人に対する3段階(フェーズ1、2、3)の臨床試験を経て、ようやく承認(実用化)に漕ぎ着ける。

新型コロナ・ワクチンを共同開発する英国のオックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカは今年4月、英国在住の18~55歳の男女1077人を対象にフェーズ1、2の臨床試験を一度に実施した。

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先日発表された試験結果によれば、同ワクチンを投与された被験者の体内にウイルス感染を阻止する「中和抗体」と、ウイルスに感染した細胞を破壊する「T細胞」の両方が確認され、それらは少なくとも2ヵ月間維持されたという。

また被験者の約7割はワクチン投与後、発熱や頭痛、筋肉痛などを経験したが、深刻な副作用は起きなかった。

オックスフォード大など共同開発チームは現在、フェーズ3に該当する約1万人を対象にした臨床試験を英国、南アフリカ共和国、そしてブラジルの3国で進めている。じきに米国でも約3万人を対象にした治験を行う予定だ。

当初の計画通りに進めば、今年9月には量産体制が整い、医療機関等への新型コロナ・ワクチン提供が始まる予定だ。製造を担うアストラゼネカ社では、すでに世界に向けて20億回分のワクチンを製造すると確約している。

 

しかしフェーズ2まではクリアしても実用化に失敗したケースも過去にあり、先行きについては予断を許さない。また国家間でのワクチンの争奪戦や、一人の人間が複数回投与するケースも想定されることから、20億回分でも不十分との見方もある。

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