「自殺したい…」は誰にでも起こる。死にたい時はお電話ください

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坂口 恭平 プロフィール

死にたい時は、いつも全く同じ状態

つまり、僕自身、周期的に死にたくなってしまいます。

何度も書き残したりしてきました。ビデオレターを自分のためにつくったりもしました。いつかはその状態から抜けるのだから、決して死んだりしないように、と。

しかし、全く効果がありませんでした。記憶が分断されてしまっているので、もう二度と元には戻れないと完全に思い込んでしまうのです。

 

今、これを書いている僕は、躁状態でも鬱状態でもないと思います。比較的穏やかな時です。この時期だけは冷静に色々と考えることができます。

そんな僕がなぜ鬱状態の時に、死ぬしかないと考えてしまうのか、自分でも理解することができません。全くの別人になっているといってもいいのかもしれません。

しかし、分断されている記憶は感情の面だけで、それ以外はひとつながりになっています。だから、死にたいと思っていたこと自体は記憶しています。鬱状態の時、どんなふうに過ごしているのかは全て記憶しているのです。

そこでわかったことがあります。

死にたい時は、毎回、全く同じ状態なのです。

脳の誤作動が起きているだけ

しかも、驚いたことに、「いのっちの電話」にかけてきた人たちと、死にたい状態について話をすると、彼らとも全く同じといってもいいということがわかってきました。

死にたい理由はそれぞれで、とても個人的だからこそ、他の人は手を差し出すことができず、止めることもできない。そう考えていた時もあったのですが、今は違います。

死にたくなる状態とは、熱が出たり、咳が出たり、血が流れたりすることと同じように、どんな人にも起こりうる症状だから対処可能なのではないか──。

「いのっちの電話」を続けてきて、一番実感したのはこのことです。

僕は、鬱状態は脳の誤作動が起きているだけだと思っています。

正確にはそれが「誤作動」なのかはわかりません。もしかしたら、意味がある別の動きをしているかもしれないので。といっても、普段、健やかに日常生活が送れている時とは全く違う動きをしていることは確かだと思います。

思考や行動は脳の信号によって実行されるので「死にたいと思うのは勘違いだ」と自分に声をかけようとしてもなかなか難しいです。思い込んでいることに気づけないのですから。そのため、どんどん死にたいという渦の中に巻き込まれていってしまいます。

死にたいと思うことが、あなただけに起きている特別なことではなく、人間にはよくある症状だと気づくことが重要なのですが、一人でそれに気づくことはとても難しいということを頭に入れておいてください。

あなただけではないんです!

それでは死にたくなっている時、どうしたらいいのか。

脳が今までと全く違う動きをしているのですから、自分ではなんともできません。

だから、他人を活用するのです。

自分で自分を客観的に観察できなくなっている状態なので、他人に観察を任せる。

自分で考えることをできるだけせず、自分から離れて、他人の声に耳を傾ける。

もちろん、特効薬ではないかもしれません。死にたくなくなった、とすぐになるわけでもありません。でも、少なくとも、あなたが死にたいと考えてしまう状態に入っている、つまり脳の誤作動が起きている、と気づくことはできるのではないか。

僕が「いのっちの電話」をやっている理由はそこにあります。

人は他人に自分が死にたいと思っていることをなかなか話せません。恥ずかしいし、人に重荷を与えているような気持ちになるし、話せば惨めになるかもしれないとも思います(これらも死にたいと思っている時の症状だと思います)。

・他人と比べることが止められず、他人が素晴らしく見え、自分がみすぼらしく見える。
・恥の感覚が強くなり、ありとあらゆることが恥ずかしくなってしまう。
・人とうまく話せなくなっている。特に世間話ができなくなっている。

こういったことも、自分だけの問題だと思っているかもしれませんが、「いのっちの電話」をはじめて、1万人ほどの死にたい人の声を聞いた結果、僕が感じたことは、ほぼ全員こうなっているということでした。

あなただけではないんです!

そして、僕も僕だけではないと知って、とてもホッとしたのを覚えています。

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