だから、「××じー」の始まりは「3G」です。
そのとき、「すりーじー」と読んでいたので、読み方も「すりーじー」が正しいです!
これで終われれば綺麗なんだろうけど、そんなにすっきりした話でもないんだろうと思う。
「すりーじー」とは確かに言っていた記憶があるのだけれど、ことのはじまり(2001年ごろ)のころではなかったと記憶しているのだ。あのとき、メディアを席巻したバズワードはW-CDMAやFOMAである。
W-CDMAは確かに3Gを構成する欠かせない要素だが、技術規格の名前だ。FOMAは3Gのサービスにドコモがつけた名称である。どちらも、「第三世代」を正しく言い表した用語ではない。
「あんまり『3G』って前面に出して売ってなかったですよね?」
正確を期すために(巻き込むために)、あるキャリアの担当者に確認してみたのだけれど、よくわかりませんと返ってきた。中の人はわかっておこうよ!
そもそも、「すりーじー」というのもおかしな話なのである。だって、「3rd Generation」の略なのだから、ほんとうだったら「さーどじー」と序数詞にすべきだ。
はっ、すると、くだんの意識高い系くつとんがり男の「ふぃふじぇね」がもっとも正しかったのだろうか。真似したくないけど。
だが、1Gや2Gも「ふぁーすと」や「せかじー」とは読まない。前者は一年戦争時のガンダムだと誤解されそうだし、後者はなにか別のものになる。
そういえば、第三世代移動体通信のことを話し合うとっても大事な団体である3GPPも「すりーじーぴーぴー」であって、「さーどじーぴーぴー」ではなかった。
言いやすさ? 言いやすさが大事なんだろうか。
確かに自分は(歳のせいもあるだろうけど)、「ごじー」、「ふぉーじー」、「さんじー」と実に適当に使い分けている。「ふぁいぶ」よりは「ご」、「よん」よりは「ふぉー」、「すりー」よりは「さん」のほうが言いやすい感じがする。
「よん」は別に言いにくくないのでは? と思われるかもしれないが、ぼくは滑舌が悪いので「yo」のあとに「n」に転じるのが発音コストが高いように思われるのだ。何回も言う羽目になる、よく使う言葉であればなおのことである。
そう思うと、「ふぃふじぇね」ではなく「ふぁいぶじー」であることは必然なのかもしれない。「ふぃふじぇね」はあからさまに舌を噛みそうだし、何なら授業中に発音しながら笑い出してしまいそうだ。
うん、言いやすさ説はいけそうな気がしてきた。3Gはなんだか似た発音の3Dで、みんなずっと前から慣れていたし。そういえば、一時期はやった3Dテレビはどうなったんだろう。
ただしこの説には、さらに有力な仮説をぶつけることができるので、うのみにするのは危険である。
2008年に発売されたiPhoneの第二世代(ややこしい)が3Gに対応していたので(初代iPhoneは2G対応だった)、iPhone3Gという商品名になったのだ。そしてアップルはこれを「すりーじー」と呼んでいた。
発売日には各国で徹夜の行列ができたほどの人気機種である。この名称によって人々の脳裏に「すりーじー」が刻まれたことは想像に難くない。きっとこれが正解だろう。
いまの世の中、たいていのことはアップルのせいにすると説明がついてしまうという、そういうお話である。
5Gのの本領は「伝送速度」にあるのではない。
残りの2つ「待ち時間」「接続密度」にあるのだ――。
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