三浦春馬さんが生前に語った、「やりたいことは絶対にやる」プロ意識

代表作で振り返る、俳優としての意地
横川 良明 プロフィール

目標もなく何となく生きてきた学生時代から、ALSが進行しできないことが増えていくたびに、別の新しい目標を掲げて懸命に努力する拓人の生き様を、笑った三浦さんのチャームポイントとも言える、三日月形の愛らしい目が代弁していました。

舞台で見せた、生々しい感情

また、三浦さんの俳優としての歩みを語る上で、舞台の存在は欠かせません。初舞台の『星の大地に降る涙』(2009年)を観たときは、シャチ役を演じる三浦さんの清新な躍動感に心奪われました。

歌、踊り、殺陣と見せ場の多い作品でしたが、やっぱり鮮烈なのはその渾身のお芝居。悲劇的なストーリーの中心で、まるで体内に流れる血を導火線に変えるようにして感情のマグマを噴き上げる三浦さんの爆発力には、瞼と心を射抜くものがありました。

そして、三浦さんの代表作と呼ぶにふさわしいのが『キンキーブーツ』(2016年、2019年)。スパンコールきらめくタイトなドレスをまとってドラァグクイーンを演じる三浦さんの姿は、普段劇場に通う習慣のない方もテレビなどで目にしたことがあるのではないでしょうか。ステージ上の三浦さんは華やかで力強く、遠い3階席からでもその圧倒的な生命力に吸い寄せられるようでした。

2016年 舞台『キンキーブーツ』のオープニングイベントにて[Photo by gettyimages]
 

観劇直後は、とにかくショーアップされた数々のシーンと、「自分が変われば世界が変わる」というメッセージに多幸感でいっぱいになったのですが、なぜでしょう、今こうして『キンキーブーツ』のことを思い返して真っ先に浮かぶのは、勘当された父親と再会を果たす場面で三浦さん演じるローラが歌った『Hold Me In Your Heart』。

軽快なナンバーの多い同作の中で貴重なバラードを、白いドレスに身を包み、たったひとりで歌い上げる三浦さんの姿が、暗い夜道で見上げた一つ星のように今も光を放っています。