三浦春馬さんが生前に語った、「やりたいことは絶対にやる」プロ意識

代表作で振り返る、俳優としての意地
横川 良明 プロフィール

最高の一作は『僕のいた時間』

数々のドラマや映画で活躍した三浦さんですが、個人的に最も印象的な映像作品は、『僕のいた時間』(2014年/フジテレビ系)でした。同作は、彼自身が企画提案したドラマ。当時23歳という若さで自ら企画を立てる意識の高さにも驚かされますが、さらに感銘を受けたのはその身を削るような役づくりです。

三浦さんが演じたのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に立ち向かう青年・澤田拓人。ALSとは、運動神経細胞の異常から徐々に筋肉が衰え、自分の意思で体が動かせなくなる難病です。最初は左腕が動かせなくなるところから始まり、少しずつ症状は全身に広がっていきます。

三浦さんは病気が進行し、筋肉が痩せていくのに合わせて7kgも減量。演じる本人は自由に体を動かせるわけですから、車椅子から転落してしまうシーンなど、どうしても左半身に力が入ってしまいそうになるものです。それをよく研究された動きでカバーし、物語に説得力をもたらしていました。

2014年パリ・ファッション・ウィークにて[Photo by gettyimages]
 

表情の演技も圧巻です。病気と向き合い、死の恐怖にさらされながらも、今を生きる拓人の心の動きを、三浦さんは表情で繊細に伝えていました。特に唸らされたのが、他の誰も見ていないときの表情。ALSと宣告されて間もない頃、拓人は自分の体が病に侵されていることを誰にも言えずにいました。普段は胸の内に恐怖を隠し、平静を装います。

けれど、恋人である恵(多部未華子)と眠っているとき、横に並んで肩を寄せ合っているとき、強く抱きしめたとき。そんなふうに恵の視線が自分から離れたときだけ浮かぶ悲壮な表情。そこに広がる孤独と絶望に、見守る視聴者さえも息が苦しくなるような想いでした。

そして何より心動かされたのが、その笑顔です。自分の気持ちを無理に押し殺した作り笑い。「誰からも必要とされてないし」と主治医に語る泣き出しそうなやるせない笑顔。自分のデザインした広告を褒めてもらったときのうれしそうな笑顔。そして恵に向ける優しい笑顔。