本編をご覧いただくとわかりますが、決して刀の血のりを拭く手元がアップになるようなシーンではありません。そんな見落とされてもおかしくないささやかな仕草にも、役の命を吹き込むことを怠らない熱心さに頭が下がりますが、それ以上に心打たれたのは、瞬発的な対応を求められるインタビューの場で即座に具体例を挙げて説明できる聡明さです。
こんなにも鮮やかに自分の信念を言語化できるのは、それが見せかけだの金科玉条ではなく、普段から意識をして行動に落とし込んでいる証拠。俳優さんのインタビューをやっていると、終わったあと思わずファンになってしまう方が時々いらっしゃるのですが、三浦さんは間違いなくそのひとりでした。
私が三浦さんをメディアで最初に認識したのは、『アンフェア』(2006年/関西テレビ・フジテレビ系)でした。三浦さんが演じたのは、人質をとって立てこもり、最後は主人公・雪平(篠原涼子)によって射殺される少年の役。ほんの短い出番でしたが、ずいぶん端正な顔立ちの男の子だなと目にとまったのが最初の印象でした。
そこから、『14歳の母』(2006年/日本テレビ系)、映画『恋空』(2007年)、『ごくせん(第3シリーズ)』(2008年/日本テレビ系)と話題作に立て続けに出演し、旬の俳優の仲間入り。
『ブラッディ・マンデイ』(2008年・2010年/TBS系)、『サムライ・ハイスクール』(2009年/TBS系)と10代ながら主演作が相次ぎ、この世代の俳優の中でいち早く主演級に駆け上ったのが三浦さんでした。
映画『君に届け』(2010年)では風早くんという絵に描いたような爽やか男子高生の役を、原作ファンも納得のピュアスマイルで体現。
正統派俳優として着々とキャリアを積み上げる一方、『ラスト♡シンデレラ』(2013年/フジテレビ系)では年上女性に迫るちょっと危険な香りの青年を野性的な色気たっぷりに演じ、「三浦春馬ってこんなにセクシーだったんだ!」と視聴者を夢中にさせました。