獣医師で作家の片川優子さんによる連載「ペットと生きるために大切なこと」。その季節に応じたトピックを獣医師ならではの視点で伝えていただく連載、今回は夏本番に向けて「虫が運ぶペットの病気」についてお届けする。

編集部注:虫による被害の写真も出てきます。苦手な方はお気をつけください。

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治療にあたった獣医師が感染

先日、広島県の獣医師が、SFTSという感染症にかかった猫を治療している間に自身もSFTSに感染した、というニュースが報じられた。

SFTSという病気は聞き慣れない方がほとんどだろうが、SFTSはマダニによって媒介される感染症であり、70代の女性がこの感染症によって命を落とした例もあり、中国新聞などでも報じられている。

大雨が降り続いた梅雨もいよいよ終わり、本格的な夏が始まろうとしている。蚊やマダニ、ノミなど、病気を運んでくる虫たちの活動は、夏に活気付く。そこで今回は、これからの時期に特に気をつけたい動物と虫の病気について詳しく取り上げる。

マダニが媒介するSFTS

まずは、冒頭でも述べた、マダニによる被害について。

「ダニ」と聞くと、ハウスダストの原因となるような目に見えないサイズのダニを想像するかもしれないが、マダニは血を吸うと小豆大になる目に見えるサイズの虫だ。
マダニは意外にもそこら中の道路脇の草むらやドッグランの芝生におり、足を伸ばして犬などの毛むくじゃらで高体温の動物が近づくのを待っている。
血を吸う前のマダニは数ミリしかなく、黒い点のようにしか見えないが、吸血後は何倍にも膨らみ、小豆大のコロンとした体になる。一見するとイボのようにも見えるのだが、裏返すと昆虫の足がついていて、正直気持ち悪い(主観です)。

犬の耳に大量についているマダニ。血を吸ってふくらんでいる Photo by iStock

また無理矢理取ろうとするとマダニのアゴだけ皮膚に残ってしまい、痒みの原因となることがある。もしマダニがついているのを発見した場合は、無理に取らずに動物病院に行き、駆虫薬を処方してもらうことをお勧めする。
ちなみにペットショップなどで売っている駆虫薬は、医薬部外品のため、効果が低いこともある。マダニの被害にあった場合は、すぐに動物病院へ行こう。