新型コロナウイルスの影響で、我々を取りまく環境は180度変わってしまった。多くの企業でテレワークが導入され、図らずも「働き方改革」が実現されつつあると言えるかもしれない。新たな価値観のなかで、我々はどう働くべきか。ロングヒットを続けるビジネス書『分断を生むエジソン』(講談社)の著者・北野唯我さんと、このほど『「2020」後 新しい日本の話をしよう』(講談社)を上梓した、人口減少問題のエキスパート・河合雅司さんが語り合う。
※記事内の写真は本年2月に取材した際のものです。新型コロナウイルスの拡大を受け、ソーシャルディスタンスを保った再取材のもと本記事を構成しています。
北野:河合さんが人口減少をテーマにした本を書こうと思われたのは、どうしてですか?
河合:それは、この問題にみんなが鈍感すぎることを危惧したからです。新聞記者時代からずっと追いかけていたテーマであるのですが、当時から、みんな深刻な問題であることを分かっているはずなのに何も手を打たず、人口が増えていた時代と同じ前提のもとで世の中が動いているように見えました。人口減少問題は時間との戦いでもあるんですよ。何もしないでいれば、間違った方向に進むだけではなく、日本に残された「社会を変えるための時間」がどんどん少なくなっていく。二重、三重に危機が重なってしまいます。
北野:ベストセラーになった『未来の年表』(講談社現代新書)が出版されてから、新刊の『「2020」後 新しい日本の話をしよう』を出されるまでに3年経ちましたよね。その間、いちばん変わったことって何ですか?
河合 この間も、人口減少や少子高齢化が進み、多くの人が実際に身の回りでその変化を実感しつつあるということですね。人口が減るということは小学生でも知っている事実でしたが、それで何が起きるのかを、『未来の年表』が出版されてからの3年間で具体的にイメージできるようになってきたのではないかと思います。図らずも、今年のコロナ禍で起きた消費の低迷や、医療機関、自治体などでの非常時の人手不足といった状況は、人口が激減した未来の日本社会を思わせるものでした。先延ばしにしてきた課題が、より切迫したものとして突きつけられたということです。