# 経済

Go Toキャンペーン、じつは国民の税金が「ドブ」に捨てられていた…!

誰が得をして、誰が損をするのか
鈴木 貴博 プロフィール

得する人、損する人

このように経済学的には意味のあるGo Toキャンペーンですが、政治的には政府と地方自治体ないしは有権者同士の対立を招きました。政治の本質は利害関係の調整です。

利害関係の解決策の中にはWin-Winなものもあるのですが、そうではない二律背反になるものもある。具体的には今、コロナを抑え込みたいという人と、ビジネスを回復させたいという人の利害は二律背反の様相を呈しています。

さてこの構図をGo Toキャンペーンにあてはめると、瀕死の状態にある旅行業界を救うのは政治家の重要な役割です。もし観光地の事業者が持ちこたえることができずにつぎつぎと閉館・閉店の連鎖が起きてしまうと、数年後には国民が旅行を楽しむという幸福が得られなくなる。

将来の国民の最大幸福のために、今、国民に苦い水を飲ませることも政治としては考えなければいけない。その苦い水が何かというとはっきりと言ってしまえば「新型コロナが首都圏から地方に拡散するリスクをある程度とってでも、観光地の経済を立て直さなければいけない」という政治判断になります。

コロナ第2波への懸念も高まってきた photo/gettyimages
 

ただこの政治論点には構造上問題があります。Go Toキャンペーンで救済できる地方の観光業界は国民の頭数としては少数派で、逆に新型コロナ収束を願う国民は多数派なのです。

政治のゴールは長期的な最大多数の最大幸福を目指すわけなので、短期的には国民が嫌がる決断を政治家が下すこともあります。消費税の増税がその典型です。これに対してポピュリストは多数派の喜ぶことを口にすることで票を得ます。「消費税をゼロにしましょう」という主張はその典型です。