コロナ禍で増えた児相への虐待相談

2020年春、世界を突如襲った新型コロナウィルス。自粛期間を経て落ち着いたように見えたが、7月23日には東京都の1日の感染者数が366人と過去最多を更新するなど感染者数は増え続け、第二波の予兆を見せている。先の自粛生活中では、休校休園による自宅保育とテレワークで疲弊した親も多く、都市部ではまたあの生活が始まるのではと不安も募る。

在宅で親と子の密な時間が増えることで、虐待が増加したというデータがある。厚生労働省の緊急調査では、令和2年1月〜4月分の児童相談所での児童虐待相談対応件数はいずれの月も増加傾向にあることがわかった。

母親のネグレクトにより8日間自宅にひとり取り残され、飢餓と脱水により命を落とした3歳の女の子の事件が記憶に新しい。コロナと直接関係はないが、虐待のニュースを見るたびに、私たちになにかできることはないのかと思う。

誰もが息苦しい時間を過ごし、実の親子の関係ですら疲弊したコロナ禍にあって、児童養護施設はいったいどういう状態だったのか。そして第二波が懸念されるいま、第一波をふまえての心配事はなにか。わたしたちができることはあるのか。外からは見えづらい現場の状況を都内外の児童養護施設の方々から取材した。

文/瀬尾幸子(編集者)

子どもたち全員のオンライン機器はない

児童養護施設には、貧困や虐待、ネグレクト(育児放棄)、保護者の死や失踪により、生みの親と暮らせない2歳から18歳までの子どもたちが暮らす。施設は子どもたちに対して、安定した生活環境を整え、健やかな成長と自立の支援をする機能を持つ。

「コロナが流行りだした3月あたりから、施設の子どもたちも学校や幼稚園に行かず、施設内で過ごしていました」と語るのは設立90周年を迎える児童養護施設『杉並学園』の自立支援コーディネーター、澤田千晴さん。

杉並学園は都内で3番目に古い児童養護施設で、本園と、グループホームと呼ばれる戸建て住宅3軒からなる。各グループは未就学児から高校生まで6名、職員4名、毎日宿直する職員で成り立ち、本園の3グループを含め計6グループに分かれている。杉並区では6月まで小学校のオンライン授業は行われず、1週間ごとに出された課題に取り組んでいた。幼稚園の朝の会がオンラインで行われたり、高校によってはオンライン授業があるなど、デバイスが必要だったのは一部の子どもだけだったのでなんとか対応できたが、オンライン学習への課題は多い。

「いま施設内の各グループには子ども用のPCが各園に1台、職員が仕事で使うPCが2台ありますが、もし全員がオンライン学習になってしまうと機材は足りません。また、カメラ付きのものもあれば、そうでないものもあるので全員が対面でのオンライン学習ができるわけでもありません」

海外では3月の休校直後からこのような写真が見られた。写真はオランダの家庭だ。しかし日本ではそもそもICT教育が行われたのはわずか3.7%。また児童養護施設のみならず、カメラ付きのデバイスがない人も多く、「デバイスを持っているか否か」のアンケートを取ってそのままという自治体もあった Photo by Getty Images