最近、「銀行間手数料」についての議論が喧しい、それも間違った議論も多い。
「銀行間手数料」については、独占禁止法を運用するための「公正取引委員会」が調査し、政府の「未来投資会議」における「経済成長戦略」にも取り上げられるほどである。しかし、この銀行間手数料の議論は分かりにくいのではないか。
そもそも、A社が国内で他行に口座がある相手B社に振り込む時、たとえば、A社が取引銀行C行に振込を手数料を払って依頼する。C行はB社の口座があるD行に入金を依頼する。その時に、C行からD行に払われる手数料のことである。
この銀行間手数料は、具体的には「3万円未満」の場合で117円、「3万円以上」の場合は162 円である。これが現在の銀行間の仕組みとなっている内国為替制度が1973年に出来上がった時から“変わっていない”ということが問題視されている。
ちなみにインターネットバンキングの他行向け振込手数料は、「3万円未満」が250円、「3万円以上」が350円の銀行が多いように感じる。117円の2倍の234円、162円の2倍の324円という水準感があるように思う。
現在、日本の国内送金(振込)のレベルは、その即時性と確実性で世界最高峰の決済サービスとなっている。それを支えるのが、国内銀行をつなぐ決済システム「全銀システム」(全国銀行データ通信システム)である。
資金決済法に基づき、全銀システムは、全国銀行協会(全銀協)傘下の一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運営している。筆者はメガバンク勤務時に、全銀システムの委員会の委員長をしていた現場の経験を持つ。