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「再びクジラを給食に」? 税金でクジラ肉を守る、自民党の時代錯誤

いまこそ市場原理に任せる決断を

昨年6月末、日本が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退してから1年が過ぎた。脱退に伴い再開された商業捕鯨も続いているが、かといって、いきなりクジラ肉の需要が増すわけでもない。反捕鯨が国際的な趨勢となる中、日本は今後も国際社会での孤立を甘受しながら、捕鯨を続けてゆくのか?

日本の農業・漁業・畜産業資源をめぐる各国の駆け引きを描く、初の著書『日本が食われる いま、日本と中国の「食」で起こっていること』を上梓した松岡久蔵氏が、日本のクジラをめぐる事情の現状と深層を特別レポートする。

 

捕鯨賛成でも、反対でもないが…

「学校給食でクジラの肉を使うということも、選択肢としてはあるのではないか、という風に考えています」

江藤拓農林水産大臣は6月30日の閣議後記者会見で、商業捕鯨再開から7月で1年を迎えるにあたっての受け止めを聞かれ、こう答えた。現代ビジネスで捕鯨問題についてこれまで4つの記事を執筆した筆者の立場からは、時代錯誤な「クジラ食を再び国民的なものにしたい」という発想はまだまだなくなりそうになく、折り合いなど付くはずもない欧米諸国との対立に、今後も無駄な税金が使われていくのかと暗澹たる気分になった。

日本は2018年末にクジラの資源管理を議論する国際捕鯨委員会を脱退した。筆者は、その契機となった同年9月にブラジルで開かれた総会の模様を「もう脱退しかないのか?日本が窮地に陥った「国際捕鯨委員会」の内幕」で報じた。IWCがいまや、環境保護を訴える欧米諸国が、捕鯨国の日本を寄ってたかって批判する場になっており、それに30年間耐えてきた日本が業を煮やして脱退した経緯は、ここでは繰り返さない。

はじめに断っておくと、筆者は単純な捕鯨反対派でも、また捕鯨賛成派でもない。日本のあまりに執念深い捕鯨推進政策にも、欧米諸国の偏った反捕鯨思想にも違和感を持っている。

しかしそれでも、近年のIWC総会のあり方には呆れてしまう。日本がクソ真面目に捕鯨継続を主張したり根回しをしたりする一方で、反捕鯨の欧米諸国が真剣に取り組んでいるとは思えないからだ。

一昨年のブラジル総会に出席した複数の政府関係者らによると、日本の代表者がスピーチする際には議場から「野蛮人」などと国際会議の場とは思えない罵声が飛んだという。普通なら決して口にしないような罵詈雑言を思う存分浴びせる欧米諸国の参加者の様子には、人種差別の匂いも感じられる。

反捕鯨を訴える英国の活動家(Photo by gettyimages)

それだけではない。日本が脱退を示唆する演説をした直後には、反捕鯨諸国の代表団や環境NGOが、参加各国に「クジラのピアスのコンテストをしよう」「いや、タトゥーの方がいい」などと呼びかけ、盛り上がる一幕があった。もはや彼らは、ただのファッションとして反捕鯨を言っているとしか思えない。