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北朝鮮が「新型コロナ蔓延で窮地」の可能性…金与正の言葉から読む

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金与正氏の談話の意味

「私はこの数日間、米国人が連日発信しているわれわれに関する怪しげな信号をニュースで聞いている」。北朝鮮の朝鮮中央通信は7月10日朝、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の談話を発表した。

「怪しげな信号」を発信しているとされる人物の1人、スティーブン・ビーガン米国務副長官はこのとき、東京にいた。

同じ日の朝、ビーガン氏と在京米国大使館の幹部らとの朝食会で、金与正氏の談話が話題になった。関係者らによれば、談話に対するビーガン氏の反応は、「全体的にみて評価できない内容だが、ひとつだけ興味を引く点があった」というものだった。

金与正氏の談話は総じて強硬な態度が目立った。米朝協議の基本テーマを、従来の「北朝鮮が非核化措置を取る代わりに、米国は制裁を解除する」というものから、「米国が北朝鮮に対する敵視政策を撤回したら、米朝協議を始めても良い」に改めよ、などと主張した。

ビーガン国務副長官
 

ビーガン氏は8日、来日の前に訪れたソウルで記者団に「責任ある担当者を決めてくれれば、すぐに米朝対話を始められる」と語ったばかりだった。その直後に発せられた与正氏の談話は総じて、ビーガン氏や、「米朝首脳会談の開催も考えられる」とした6月30日のトランプ米大統領の発言などに冷水を浴びせるものだった。

そんななか、ビーガン氏らが金与正氏の談話のなかで唯一、注目した点とは何だったのか。それは「朝鮮半島の非核化の実現は、我々(北朝鮮)の行動と並行して、他方(米国)の多くの変化、即ち不可逆的な重大措置が同時に講じられてこそ可能だ」という部分だった。北朝鮮だけでなく、米国の側も変われ、というのだ。