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「殺人ウイルス」はやっぱり存在する…?ワクチン開発めぐる闇の取引

富山化学に多額の助成金も

スペイン風邪から学べること

人類型新型ウイルス』はトム・クイン氏(英国のジャーナリスト・社会史研究家)による感染症が人間の社会に与えた影響を分析した優れた作品だ。クイン氏は、1918~'20年に猛威を振るったスペイン風邪(鳥インフルエンザ)が社会政策に与えた影響についてこう記す。

 

スペイン風邪から得ることもあった。その一つは、世界の大部分の人々が置かれていた悲惨な生活状態に目が向けられたことだ。

19世紀にロンドンでコレラが流行した時と同じように、人々は想像を絶する大量の死者に直面し、大衆が不健康な状態に置かれていると、富める者も貧しい者も等しくその影響を受けることを思い知らされたのである。

19世紀のロンドンではコレラの流行がきっかけとなり、市の下水管をテムズ河のはるか下流へ導くために、テムズ河岸通りが整備された。1918年のパンデミックの惨禍もまた、各国政府に国民の保健管理を促すきっかけになった。

ロイド・ジョージ英国首相はロンドンでこう語っている。「これまで庶民が耐え忍んできた住宅事情はあまりにひどく、そのために、本来なら戦争の勝利に貢献できたはずの人命が失われた」と。

これは、多くの国々の指導者を代表する発言でもあった。世界中で、貧困の実態が明らかにされた。先進国の都市では、靴や食べ物のない子供は珍しくなかった。ケープタウンでは、多くの家族が家畜小屋に住んでいた。

ロンドンでは、2家族が1部屋を共有していた。ニュージーランドの首相は、スラム街を一掃するために首都ウェリントンの半分を建て直さなければならないと発表した〉。