大相撲7月場所「有観客開催」は愚行か、英断か

コロナ感染の中心地東京でなぜ今なのか
西尾 克洋 プロフィール

大相撲は他のスポーツよりもコロナウイルスに感染しやすい環境にあるということも重く考えなければならない。

力士の多くが相撲部屋で寝泊まりしており、また、そもそもコンタクトスポーツなので常に対戦力士と密な状況にならざるを得ない。このような競技としてのリスクを考慮し、「申し合い」と呼ばれる実戦形式の稽古を禁止するよう各部屋に通達していた経緯もある。さすがに本番が近づくに連れて申し合いをしないわけにもいかなくなり最近解禁したのだが、裏を返すと、すでに感染リスクが高い状態にあると言えるだろう。

そして、忘れてはならないのが、大相撲は日本のスポーツ界で唯一、現役選手が、コロナの犠牲者となった競技だということである。

亡くなった勝武士(しょうぶし)は当時28歳だったが、糖尿病を患っていたことは広く知られている。コロナウイルスは若年層であれば重症化しにくいとされているが、力士はこうした持病を持つことが多いため、感染リスクもさることながら、重症化の危険性にも向き合わねばならないのである。

高田川部屋HPより

さらに付け加えれば、相撲は「屋内」で行われる競技だということである。

屋外の競技と比べるとどうしても密によるリスクを避けられない部分がある。換気によって低減できる部分もあるにせよ、長時間の観戦となると当然、危険性は増す。ある程度客席の間隔を取ることにはなりそうだが、それでもリスクを撲滅できるわけではない。

最近、屋内で開催された舞台で30人余りがクラスター感染したという事例も報告されている。詳しい状況は不明で感染対策がどの程度実施されていたかはこれから判明することではあるが、観客を入れたイベントが徐々に実施されるようになった矢先の出来事であることを考えると、大相撲においても同様の事態が発生するリスクがあることは真摯に受け止めねばならないだろう。

 

現在の状況と大相撲という競技の特性を考慮すると、即座にこれだけの問題点が出てきてしまうのだ。

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