そろそろ本格的に「冷やし中華」のシーズンが到来する。
ところで、この冷やし中華、「中華」と名前はついていても、「天津飯」や「エビチリ」同様、“日本発祥”の中華料理である。では、実際に中国では、夏になるとどのような麺料理が食べられているのだろうか。
中国在住20年。上海で外食産業のコンサルティングをしている筆者が考察したいと思う。
冒頭に述べたように、冷やし中華は、中国の「涼拌面(リャンバンミエン/冷やし混ぜそば)」をベースに考案された、日本発祥の中華料理(日式中華)である。
従って、もともと中国には存在しなのだが、食の多様化から、夏になると日本料理店で見かけるようになってきた。
また最近、日系のコンビニでは、『日式蕎麦涼面/蕎麦冷やし中華』や、『川香鶏絲涼面/四川風鶏冷やし中華』と銘打ったアレンジ商品も登場している。
一方、四川料理や湖南料理といった、流行りのパンチの効いた中華料理に押され、中国で日式中華の人気は総じて高くない。
当然のことだが、日式中華の味付けは、中国人にとっても馴染みがあることが多い。それ故、不味くはないが、インパクトに乏しいと、酷評されてしまう傾向にあるのだ。
「冷やし中華」もその例外ではなく、中国では未だマイナーな存在である。因みに、中国で冷やし中華の名称は、「日式冷麺」。中国人には、日本料理の一つとして認識されている。