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山口百恵に“沼落ち”する若者続出のワケ…令和世代も虜にする「3つの魔力」

引退から40年、再び社会現象に
濱口 英樹 プロフィール

現在のアイドルとの根本的な違い

それはピンのアイドルがほぼ絶滅したことに起因するとも言えるだろう。

かつての歌謡曲では、1人の歌手が歌うことを前提に、プロのクリエイターたちが才能をぶつけ合って「当て書き」をしていた。

特にアイドルの場合は旬の期間が限られることもあって、スタッフは彼女(彼)が飽きられないように変化をつけつつ、いかに大人の歌い手に成長させていくかに腐心。それが端的に現れたのが、彼女(彼)の口を通して語られる言葉(歌詞)のインパクトであった。

だが時代は変わった。アイドルはグループが主流となり、屋号を残したままメンバーを入れ替えていくビジネスモデルも定着した。

1人のアイドルを一から育てる手間やリスクよりは、グループのブランド価値と、画一化された世界観で固定ファンを囲い込む戦略が採用されるようになった。楽曲のほとんどが男性目線の「僕」で語られるAKBグループや坂道シリーズはその最たる例といえるだろう。

『秋桜』(77年)
 

情事のあとの男の仕草を冷静に観察しながら《去年の人とまた比べている》と歌う『イミテイション・ゴールド』(77年)の3ヵ月後、嫁ぐ前日に母を気遣う古風な娘の心情を綴った『秋桜』(77年)をリリースした山口百恵のような振れ幅は、今のグループ型アイドルにはない。

それは、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)で南沙織、郷ひろみ、ジュディ・オングらを手がけたヒットメーカー、酒井政利という、稀代のプロデューサーの存在あってこそ成立した芸当でもあった。