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山口百恵に“沼落ち”する若者続出のワケ…令和世代も虜にする「3つの魔力」

引退から40年、再び社会現象に
濱口 英樹 プロフィール

現代の音楽シーンにない“新鮮さ”

そして2つ目。これが最大のポイントとなるが、やはり楽曲の持つ力である。

山口百恵の歌は今のJ-POPやアイドルの曲にはない「特徴」をいくつも備えている。それが若いリスナーの耳には新鮮に響くのだと筆者は考える。

たとえば『プレイバックPart2』に代表される虚構性の強いドラマチックな歌詞。それは14歳の時に《あなたが望むなら 私 何をされてもいいわ》と歌った『青い果実』から、結婚直前の21歳で《夫はとうに亡くなりました》《いい加減にして男はあなた一人じゃない》と啖呵を切った『ロックンロール・ウィドウ』(80年)まで貫かれた作風だが、そういう歌詞には最近滅多にお目にかかれない。

『ロックンロール・ウィドウ』(80年)
 

なぜなら現在の音楽シーンはシンガーソングライターが主流で、等身大のラブソングや、リアルな心情を吐露する歌が多数を占めているからだ。

しかし山口百恵が活躍した70年代は歌謡曲の黄金時代。当時はプロデューサーやディレクターが歌手のイメージや作品のコンセプトを決め、その意を受けた作詞家、作曲家、編曲家が楽曲を創り上げる分業制が主流であった。

だからこそ、自分が歌うにはためらわれるような詞世界が成立し、聴き手も歌手が歌わされていることを前提に楽しむことができたのである。

もちろん分業制は今でも存在する。シンガーソングライターとともにメインストリームを形成するダンス&ボーカルグループ(アイドルを含む)の多くは作家からの提供作品を歌っているが、その多くはリズムやパフォーマンスを重視したものだ。

「TTポーズ」(TWICE)や「いいねダンス」(DA PUMP)など、振付が話題になることは多いが、山口百恵の《バカにしないでよ》や《これっきりですか》など、流行語にまでなるような歌詞はここ数年、皆無といっていい。