ワイルド系主人公に女性人気が集まった時代

しかし、ヒョンビン初主演のこの『雪の女王』、当時韓国では残念ながら想像ほどに視聴率は伸びなかった。最高視聴率は10.8%。『私の名前はキム・サムスン』が最高視聴率50.5%だったこともあり、世の中の期待値が高すぎてしまったのかもしれない。

さらに、『雪の女王』と似た設定のドラマが、2004年、2005年と続いてしまったことも要因のひとつではないかと思っている。当時、似ていると話題になったのは、ソ・ジソブ主演の人気作『ごめん、愛してる』(2004年KBS・最高視聴率29.2%)。この作品は3年前、長瀬智也主演で日本版も放映された。さらに、Rain(ピとも呼ばれ、俳優名はチョン・ジフン)主演の『このろくでなしの愛』(2005年KBS 最高視聴率15.5%)も主人公のテイストが似ている。

共通点は、主人公が信じられないほど貧しく、孤独で、心から笑えない生活を送り、絶望している点だ。内面は薄いガラスのように繊細であるにも関わらず、外見は髪がボサボサっと伸び、無精ひげを生やし、ほとんど笑わないワイルド系。普段は擦り切れ気味のカーゴパンツに、薄汚れたアーミーコートとかを着ている。そして、みな長身で強いのだ。ジソブが演じたムヒョクは海外のスラム育ちの元ギャングだし、Rainが演じたカン・ボックは総合格闘技をやっていた。そして、ヒョンビン演じるハン・ドックはボクシングをやっている。

地べたを這うようにしか生きられないハン・ドック。『雪の女王』より。(C)2006 YOON'S COLOR

そんなワイルド系の姿を見せたかと思うと、恋に落ちる相手がらみの金持ちや財閥、有名人などの運転手やボディガードとして雇われ、スマートにブラック系スーツを着こなしてしまったりするのだ。こういったギャップ萌えがふんだんに盛り込まれているところも、この3作品は似ている。

当時、韓国で取材中に知り合ったテレビ制作会社の人は、この3つの作品のことを似ていることから『ワイルド系三部作』と呼んでいた。擦り切れるほど心が痛くなる展開が好まれた時代でもあったのだ。

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