日本を代表する憧れリゾートの一つである星野リゾートは、なぜこれほどまでに多くの人を惹きつけるのでしょうか? ホテルジャーナリスト・せきねきょうこさんならではの視点でその魅力に迫ります。今回は、離島の魅力満載の「星のや竹富島」をご紹介します。

八重山の至宝「竹富島」と共に
伝統文化の発信地としてのリゾートに

建物の門や屋根などに据えられるシーサーは魔除け、家の守り神。伝説の獣像とは言え、どれも個性的でかわいい。写真は集落で見つけた屋根に鎮座する2体のシーサー。

幾つもの島々が浮かぶ沖縄県八重山諸島の一つ、竹富島。白い珊瑚のカケラでできた真っ白な小道、赤い琉球瓦の低い家並み、沖縄県の県花・梯梧(デイゴ)の防風林、水牛車が通るたびに聞こえる八重山民謡。この穏やかな情景が織り成す島に、2012年6月1日、島人(しまんちゅ)には革命的とも言える新しい事象が起きました。

「星のや竹富島」全景。竹富島の伝統家屋を踏襲した48棟が並ぶ。2012年創業時、ヴィラを取り巻く若木は小さく家がすっかり見えていたが、今では防風林として大きく成長した福木や他の木々にこんもりと包まれている。島の4つ目の集落として、今後も島の自然と共に歴史を刻む。

それまで島内には民宿がせいぜいだった宿泊施設の仲間として、世界レベルの高級リゾートブランド「星のや」を展開する星野リゾートが、「星のや竹富島」をオープンすることとなったのです。

リゾートを運営するのは前述の通り、星野佳路氏を代表とするホテル運営会社・星野リゾートです。今となっては知らない人のいない社名ですが、星野リゾートが展開するトップブランド「星のや」は、軽井沢に始まり、京都に続く3軒目として、この美しい八重山諸島の一つ、竹富島での誕生となりました。

星野リゾートの代表・星野佳路氏にも何度か話を聞きました。氏は「竹富島には主となる集落が3つあり、『星のや竹富島』は、島で4番目の集落“星のや集落”としてありたい」と願っていたのが印象的でした。

島内を散策すれば、一年を通じて咲き誇る赤いハイビスカスや、濃いピンクのブーゲンビリアを見かけ、南の島らしい風景に彩りを添えている。春にはデイゴの花も咲く。

リゾート建設のプランを立ててから何年もかけて、代表と島人との数えきれない会合がもたれたと言います。リゾートのオープン後にも、何度か「星のや竹富島」について星野佳路氏にインタビューをしましたが、返ってきた答えはいつでも同じ。その度に島に対する思いは変わらず、ブレない言葉は感動的でもありました。

「沖縄とその離島には守るべき固有の伝統文化が今なお残されている。私たち日本人が誇りに思う島の貴重な原風景や、島のおじいや、おばあの話す言葉、日常の民謡や手仕事などを、当の島人と共に、お客様が滞在中に体感できれば」

星野佳路氏は、固有の伝統文化や島の貴重な原風景を壊さないなど、“島の人々が守るべきものは「星のや竹富島」も共に守る”という信念を、揺るぎない言葉で島人に何度も伝えていました。そして伝統を“星のや流”にリゾート内に踏襲し、ゲストが体感できるようにしたのです。こうして互いの信頼関係が生まれ、“うつぐみの心”が芽を吹きだしました。

“うつぐみの心”とは、竹富島で頻繁に使われる言葉で「共同一致の精神」を意味しています。