こう書くと、番審がまるで局側の支配下にある組織のようだが、それは違う。番審は局のご意見番だ。番組の向上改善や適正化を図ることなどを目的に存在する。
一般的にはなじみが薄いものの、その設置義務と役割、権限などは放送法第6条と7条に明記されており、局側は番審の諮問や意見を酌み取らなくてはならない。
他方、放送界の裁判所のように思われているBPOは放送法に規定がなく、NHKと民放がつくった任意団体に過ぎない。また、基本的には誰かからの申し立てがない限り、番組に口出しすることはない。
それと比べ、番審には法的根拠がある。番組に危うさを感じたら、問題を起こす前に口を出せる。
フジの場合、番審委員は次の通りである。
フジの6月10日の番審において、委員たちは『テラスハウス』についてどう発言したのか。その一部を記したい。踏み込んだ批判が目立った。
「私は、リアリティーショーというジャンル、存在そのものに大きな疑問を抱いた。視聴者は何が面白くて見ているか。人のプライバシーの一番根底の根底が暴露されている、人の非常に深刻な精神的な葛藤を見ている。そういう作り物だ」
「エンターテインメントのあり方、その限界、メディアが向かう方向性という意味での倫理観、ethics(注・倫理)というものを根本的に議論をしていただいた方がいい」
「恐らく90年代の末ぐらいにリアリティーショーのフォーマットができたと思うが、SNSで誰でも匿名で出演者を誹謗中傷できる現在の世の中に合わせてそのフォーマットが更新されていないというところが根本的な問題ではないか」