Photo by iStock
# ふるさと納税

ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた、官僚の支配構造

「上から目線」の総務省

総務省の「後出しジャンケン」

ふるさと納税の制度除外をめぐる国と地方自治体の争いで、最高裁は国の決定を取り消す判決を下した。これにより、総務省は大阪府泉佐野市や和歌山県高野町、佐賀県みやき町の制度参加を再び認めると発表した。

国の判断が最高裁で取り消されることは異例だが、振り返ると制度から特定の自治体が外されるのはめったにないことだ。結論から言えば、各自治体の財政支出については、それがどのような形であれ、市民が決めるもので、それ以外の人間が口を出すべきではない。

Photo by Getty Images

たしかに、自治体のふるさと納税の「返礼品戦争」は一時期過熱を極めており、寄付額より返礼品の方が高価であることもザラだった。これを受け、昨年6月、地方税法等の改正により総務省が返礼品の規制をする流れとなった。

これに対し、泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、返礼品に加えてアマゾンギフト券を配布するなど、変更前の駆け込み需要の取り込みに走った。

 

これが総務省を激怒させた。同省は新制度の対象を選定するに当たり、「'18年11月から'19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定し、泉佐野市など4市町が新制度の対象外となったのだ。

これは特定の自治体を狙い撃ちした総務省の露骨な「後出しジャンケン」である総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」も総務省に再検討を勧告したが、総務省は無視した。

泉佐野市は国を訴えることになったわけだが、今年1月、大阪高等裁判所は、総務省の行政裁量を認め、「制度から除外したことは違法ではない」として同市の訴えを退けた。最高裁で同市の逆転勝訴が決定したのは、6月30日のことだ。

今回の最高裁判決については、小兵平幕力士が大横綱を土俵際で見事に「うっちゃった」感があり、爽快だ。

大阪の一地方都市が総務省に勝つとは、まさに奇跡的なことだと言える。総務省としても、最高裁判決が出た以上、泉佐野市ら3自治体をふるさと納税の対象とせざるを得ない。

ただし、今回の判決は、あくまで先述した「後出しジャンケン」のような基準が問題だったとしているだけで、総務省によるふるさと納税規制そのものを否定しているわけではない。そのため、以前と同様に、派手なバラマキキャンペーンで納税者を募ることはできないだろう。

 

結局のところ、今回の判決でも、総務省がふるさと納税のルールを決めている実情を覆してはいない。本来なら、返礼品のルールは地方自治体の財政支出である以上、その地方自治体の市民が市長や市議会議員を選ぶことで決めるべきだ。

今回の騒動の根底には、総務省が「上から目線」で自治体を見ていることがある。地方自治体を「指導・監督」するような国家機関は、先進国ではまず見当たらない。

今の日本では、国と地方自治体が対等であるとされている。であれば、もはや総務省が果たすべき役割はない。むしろ総務省官僚のおごりがあるだけ、地方自治体の足かせになっているのではないか。これを機に、総務省の存在意義を考え直すべきだ。

『週刊現代』2020年7月18日号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら