風が吹けば、ユーラシア大陸が猛暑に?「風」から異常気象を予測する

異常気象の原因を地球規模で探る
三重大学大学院・生物資源学研究科の立花義裕(たちばな・よしひろ)教授は、普通ではないことを発見する楽しみを求めて、異常気象の研究に取り組んでいます。異常気象はその原因も思いがけないものが多く、ぴったりの研究テーマだそうです。

そんな立花教授がインタビューに応じてくださり、風と異常気象の驚きの関係をレクチャーしてくださいました。
三重大学大学院・立花教授

人が思いつかないことを考える

――立花先生はどんな研究をされているのですか。

立花 専門は気象学です。気象学、おもしろいですよ!

――先生にとって気象学のどんなところがおもしろいのですか。

立花 いつもと違う、めったにないことが起きると、誰もが興味を持つと思います。特に僕は科学者なので、普通でない事が起きると、どうしてそうなったのか知りたくなります。わからないことが起こったら、わかりたいと思う気持ちが人より強いんだと思います。ですから、異常気象が起こるとなぜ起きたのか理由を考えたくなります。

特に、地球の反対側で起きた現象が日本の気象にも影響を及ぼすとか、その異常気象の原因が思いもよらないところにあることを発見することは楽しいですね。

異常気象の原因は地球規模で考えなければわからない photo by iStock

――2010年の記録的な日本の猛暑もどこか遠いところの影響だとニュースで見て驚いた事があります。確かヨーロッパも猛暑だったのですよね。

立花 2010年の猛暑については様々な原因がありますが、僕も、当時修士課程の大学院生だった大富さんと一緒にその原因の一つについて論文を書きました。

2010年の猛暑の原因のひとつは、カリブ海を含む大西洋の海水の温度が高かったからです。なぜ海水の温度が高かったかというと、シベリア、ヨーロッパ付近でその前の冬が寒かったためです。

――寒い冬だったから、次の夏に海水の温度が高くなった、とは、どういうことでしょうか?

 

立花 冬、寒い時は北風が吹きます。大西洋の上に強い北風が吹き、赤道付近にまでいってまた戻ってきます。すると海も赤道付近の温かい水が北へ流れます。アフリカ周辺の温かい海水が大西洋に流れ込み、大西洋の海水の温度が上がったのです。

水は冷めにくく温まりにくいので(空気はすぐ冷える)、海の水もいったん温まるとしばらく温かいままで、夏まで持ち越して、水温が温かいままだったのです。