ヒトの腸壁にびっしりと棲みついた腸内細菌の数は100兆個以上。その種類は300種類以上とも、2万種類あるとも言われています。この腸内細菌をいかに味方につけるかで、私たちの健康ばかりか人生までも決まると語るのが、便秘外来医師、小林暁子先生。

腸内環境が整うことで、体調や肌の調子、そして体型はもちろん、表情や性格まで変わっていく患者さんをこれまで数多く見てきたという小林先生。先生が提唱する「健美腸ルール」を紹介した前回記事に続き、腸内細菌を味方につける方法を、新刊『免疫力を上げる健美腸ルール』からの一部抜粋でお伝えします。

小林暁子
小林メディカルクリニック東京院長。医学博士。順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学総合診療科での経験を経て、便秘外来・内科・皮膚科・女性外来など全身の不調に対応するクリニックを開業。人気の便秘外来では、トップアスリートやエグゼクティブなども含めて2万人(のべ15万人)以上の患者の治療に携わり、高い実績を上げている。TV出演、講演などでも活躍中。

やる気や幸せ感も腸が決める

私のクリニックには、超有名企業の経営者をはじめ、プロゴルファーやサッカー選手などのトップアスリートなども訪れます。そうした著名人の方々は職業柄、普段から健康には人一倍気を遣っているはずです。そんな彼らが今、真っ先に取り組んでいるのが、腸内環境ケア=健美腸ケアなのです。

なぜ彼らはこぞって健美腸ケアに励むのでしょうか。彼らに聞いてみると、「ここぞ! というときに最高のパフォーマンスを発揮するため」「素早く正確な判断を下すため」「ストレスに負けないため」という答えが返ってきます。事実、効果が出ているのです。

スポーツの世界だけではない。プレゼンテーションや緊張を余儀なくされる場でも力を発揮するためには、「腸の状況」が重要なカギを握る Photo by iStock

精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の95%は、脳ではなく腸で作られています。セロトニンは、幸せ物質ともいわれていて、「明日も頑張ろう」という前向きな気持ちや安らぎを作り出します。そして、「やる気」にスイッチを入れる、ドーパミンのもとになるビタミンを生み出すのも腸。私たちのやる気や喜び、幸せ感を支配しているのは、脳である以上に、腸であるということですね。

「腸内の善玉菌(ビフィズス菌、乳酸桿菌)が少ないと、うつ病のリスクが高まる」ということも、国立精神・神経医療研究センター神経研究所を中心とする共同研究グループによって明らかになっています。また、善玉菌の少ない人と過敏性腸症候群のようなストレス性心身症との関連も見られることがわかっています。