官邸で開かれる会見(6月18日)〔PHOTO〕Gettyimages

望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり

官邸の会見は、ほとんど「宣伝」だ

「安倍一強」が叫ばれて久しい。東京新聞記者の望月衣塑子氏と評論家の佐高信氏による新刊『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』は、この政権の恐るべき権力基盤を「メディアとの関係」から描き出す。政権はいかにメディアをコントロールし、メディアはいかに権力に追従しているのか。この国の中枢の真実。

記者の凋落を示すダメ会見

いまの記者は、みな揃っておとなしく、サラリーマン化が進んでいる。型にはまったこと以上の行動をするのを極端に恐れるあまり、取材相手を追及し、本音を吐き出させようとする気迫が感じられない。

六月一八日の午後六時から開かれた首相会見では、わずか会見の三時間前に河井克行前法相と妻の案里議員が公選法違反容疑で逮捕されたのにもかかわらず、事件についての質問は、事前に質問を投げていた幹事社・フジテレビだけ。

しかも、「自民党から振り込まれた一億五〇〇〇万円の一部が買収資金に使われたことはないということでいいのか」と、「ない」を前提にした誘導的な質問で、首相は「任命した者として責任を痛感している」と答えただけだった。

6月18日の会見〔PHOTO〕Gettyimages
 

当然、記者は「どう責任を果たすつもりなのか」「買収資金に交付金が使われたか、調査するのか」など追及を重ねなければならないが、だれも続かない。産経新聞は憲法改正についての首相の意気込みを、NHKは北朝鮮対応を、日本テレビはポスト安倍について。その質問に答えるかたちで、首相は自分の支持者向けのメッセージとも聞こえる話を続けた。

質疑を見ていてめまいがした。国会議員二人による大規模な買収疑惑は、憲政史上まれにみる大事件。しかも一人は前法相だ。その質問がわずか一つしか出ないとは……。会見にいる政治部記者は疑惑の重大さを理解していないのだろうか。「黙って挙手して」など、官邸が勝手に決めたルールにおとなしく従っている場合ではない。制止を振り切ってでも追及すべき場面だった。記者の凋落ぶりを示すダメ会見で、これは後世に語り継がれるだろう。