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名手ケプカの秘技を解明!「夏の深いラフ」に強くなるアイアンの極意

集中連載「科学的ゴルフ上達法」第5回

累計9万部突破の大ベストセラー『世界標準のスイングが身につく科学的ゴルフ上達法』シリーズに、待望の「実践編」が登場!

早くも大反響をいただいています。

【写真】書店店頭丸善日本橋店「1階話題書コーナー」にて、“シブコ本”と共演!

その刊行を記念して、著者である板橋繁コーチに特別インタビューを敢行。

第5回からの新たなテーマは、スコアメイクに直結するトラブルシューティング・ショット。バンカーやラフ等で活用できるG1メソッドならではの技の数々をご紹介します。

最先端のスイング理論に基づいた「世界標準のスイング」でスコアアップを目指せ!

(取材・文/水品 壽孝)

「伝説の試合」で目撃した超絶ショット

深くて強い、夏のラフ。

芝の抵抗に負けてクラブフェースが開いてしまうこともあれば、芝がネックに絡まってフェースが返ってしまうこともある。この季節、ラフに手こずってスコアを崩してしまった経験をお持ちのアマチュアゴルファーは少なくないだろう。

ラフに苦しめられるのは、アマチュアに限ったことではない。1988年、東京ゴルフ倶楽部で開催された日本オープン。長く伸びたラフが選手たちの前に立ちはだかり、優勝スコアは4オーバーというタフな戦いとなった。

最終日、そのなかで熾烈な戦いを繰り広げたのが、当時、日本のゴルフ界に君臨していたAON、すなわち、青木功、尾崎将司、中嶋常幸の3人だった。1983年から92年までの10年間の日本オープンにおいて、じつに10回中9回の優勝をこの3人で分け合っている。88年の日本オープンでは、その3人が三つ巴の優勝争いを演じたのだ。

  1988年の日本オープンでの、青木功、尾崎将司、中嶋常幸の3人が映った貴重なシーン

戦いは終盤までもつれたが、17番ホールでロングパットを沈めてバーディを奪った尾崎が頭一つリード。最終ホールをパーで切り抜け、2人に1打差をつけて優勝した。わずか70cmの距離を二度仕切り直して打った尾崎のウイニングパットは、いまも語り草になっている。

じつは、板橋氏も、その伝説の試合を現地で目撃している。

当時、日本体育大学のゴルフ部に在籍し、運営スタッフとして現地に駆り出された板橋氏は、選手が打つときに、ギャラリーに向かって「お静かに」というボードを掲げる役割を担当していた。その任務を果たしながらも、「この機会を逃すまい」と、トッププロたちのプレーを観察したという。

その板橋氏の目に、いまでも焼きついて離れないショットがある。──中嶋がラフから放ったリカバリーショットだ。板橋氏が、当時の興奮を思い出すようにこう語る。

「日本オープンなどのメジャー競技では基本的に、通常のトーナメントよりもラフが深く、タフなコース設定になっています。88年の日本オープンは例年にも増してラフが深く、ボールがすっぽりとラフに入ってしまったらフェアウェイに出すのが精一杯。ライが良く、グリーンを狙えても、フライヤーでグリーンをオーバーしてしまう選手が続出するという状況でした。

ところが、中嶋プロは、その深いラフから軽々とボールを打ち出したんです。しかも、打ち出されたボールは高く上がり、グリーン上でピタリと止まった。その技術の高さには、震えるほど驚かされました」

 

スコアを左右する「ラフへの対応力」

最終日の中嶋はドライバーが不調で、ティショットでフェアウェイをキープしたのはわずか1ホールだけだった。ラフが深く、フェアウェイを外すことが大きなペナルティとなる設定のなかで、これは圧倒的に不利な状況だ。

しかし、中嶋は卓越した技術によって、その厳しい状況に対応。大崩れすることなく、最後まで優勝争いに絡んでいった。

中嶋は国内メジャー11勝を誇り、大舞台に強い選手として知られている。その理由の1つとして、ラフに対する対応力があったわけだ。

ラフへの対応力が求められることは、海外メジャーでも、事情は同じだ。

特に、全米オープンと全米プロがおこなわれるコースでは毎年、ラフが長めの設定になっている。その深くて粘っこいラフを克服しなければ、メジャーの栄冠を手にすることは難しい。

【写真】「ラフへの対応力」がスコアメイクを左右する
  「ラフへの対応力」がスコアメイクを左右する photo by gettyimages

いま、そのメジャー競技で無類の強さを発揮し、「メジャー男」とよばれているプレーヤーがいる。

ブルックス・ケプカだ。

ケプカは、2017年と18年の全米オープンを連覇。2018年と19年の全米プロでも連続優勝を果たしている。

  ブルックス・ケプカ。写真上は、2017年(左)と2018年の全米オープン、写真下は2018年(左)と2019年の全米プロ photo by gettyimages

中嶋常幸とブルックス・ケプカ──。板橋氏によれば、日米のメジャー男2人のラフからのショットには、ある共通点があるという。

いったいなにか?