韓国取材で北朝鮮に「不時着」
韓国ドラマ『愛の不時着(サランウィ・ブルシチャク)』の人気が続いている。韓国の財閥令嬢のユン・セリと北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の人民軍将校リ・ジョンヒョクとの波乱に満ちたラブコメだ。
この作品の大ヒットから、北朝鮮の村の様子や女性たち、ジョンヒョクの部下の「第5中隊」兵士たちといった庶民の暮らしにも関心が集まっている。そのリアリティ豊かな描写は「脱北者」たちのアドバイスを反映しているからだというが、もちろん、ドラマならではの、絶対にあり得ないことも山ほどある。
私は1992年から昨年10月まで、計43回にわたって北朝鮮取材を続けてきた。首都・平壌(ピョンヤン)だけでなく、地方都市も数多く訪れ、個人宅にもかなり行っている。そして1回の取材で3000~5000枚の写真と、動画を撮影してきた。
韓国での取材は47回。韓国で取材を続けていて、気が付いたら、北朝鮮に「不時着」していた。隣国の韓国へ強い関心を持てば、朝鮮半島の北側への興味が沸くのは自然の成り行きだろう。私の「不時着」についてここでは省略するが、ご興味のある方はぜひ『朝鮮で見た<日本>知られざる隣国との絆』(岩波書店)をご覧いただきたい。
今回は、ドラマ『愛の不時着』に登場する北朝鮮内のさまざまな事柄を、このドラマにドハマリした人たちのために、現地の実際の写真を交えて解説したい。いわば北朝鮮のバーチャル「聖地巡礼」だ。
現在、北朝鮮は新型コロナウイルス感染防止のために外国人の入国を禁止しているが、解除後に「聖地巡礼」をしようとするならば、必ずや役に立つことだろう。これから紹介する写真と話は、すべて私の北朝鮮取材に基づくものである。