『梨泰院クラス』が「韓流嫌いの中年男性」にも響いた3つの理由

男の大好物がつまっている
稲田 豊史 プロフィール

中年男性に響く理由1:
胸アツの『ONE PIECE』的展開

たったひとりで復讐を誓ったセロイのもとに、一癖も二癖もある「最高の仲間」が従業員として、あるいは協力者として、ひとり、またひとりと集まり、徐々に最強チームが形成されていく。

これは、3〜40代男性が大好きな『ONE PIECE』を彷彿とさせる。セロイがルフィだとすれば、率いるチームは「麦わらの一味」だ。到底歯が立たないと思われていた強大な敵に対し、志を同じくする少数精鋭のベストメンバーが勇敢に立ち向かう。文字どおり「少年ジャンプ」的“友情・努力・勝利”を地で行く本作は、3〜40代男性にとって直球どストライクだったのだ。

『梨泰院クラス』より

チームメイクの過程では、メンバーひとりひとりの苦悩や過去が彼ら視点からも明かされ、「なぜセロイについていくと決めたのか」の理由が納得できる作りになっている。これも、いちいち熱い。

『梨泰院クラス』より
 

セロイの頼もしい兄貴っぷりは、同性からも憧れられやすい。仲間を絶対的に信じ、誠実を商売の信条とし、どんな窮地に陥ってもうろたえない。その心得とリーダーシップ論だけで、ビジネス書が1冊書けそうだ。それもまた、中年男性に受けた理由だろう。

絶対にぶれない鉄の信念を貫き、不屈の精神で巨悪への復讐を完遂させるセロイは、正義の銀行マン・半沢直樹にも近い。臥薪嘗胆、水面下で周到に準備を進め、ここぞというタイミングで手牌を一気にオープンする鳥肌モノのカタルシスは、映画『ショーシャンクの空に』(94)を想起させる。そして後半に登場する「身分を知らずに付き合っていた人が、実は超大物で」パターンは『課長島耕作』や『サラリーマン金太郎』のお約束でもある。いずれも、中年男性の大好物コンテンツだ。

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