踊れる人は、どこで踊っても
感動の瞬間を創り出せる

ーー草刈さんが最初に声をかけたのは、コンテンポラリーダンスの平原慎太郎だった。平原は草刈さんの意見にすぐに賛同、そしてあらゆる生活空間の中で踊る動画を自撮りして送ってきてくれたという。「#Chainof8」には、隣のビルが迫るマンションのベランダ、椅子を脇にどけてなんとか空間を作ったリビング、部屋いっぱいのベッドの上などで踊る8人が映っている。家の中にも稽古場にも日常の物が置かれ、飼い主の踊りを不思議そうに見る犬も映し出されている。そこはまぎれもなく「ステイホーム」の空間だ。

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ちゃんと踊れる人は、どこで踊っても「おぉ!」と思わせられる瞬間を創り出せるんだ、と証明できたと思います。引退して10年経つけれど、なにしろ言い出したのは私だから、踊らないわけにはいきません。私の担当は8秒のシーンが3回と皆で踊る最後の16秒だけだったんですが、たったそれだけでも始めの3日は一日5時間位身体を動かしていました。そして、力みなく動けるようになるまで1週間くらい。身体を維持するための軽いトレーニングはしていますが、踊るとなるとまた別です。久しぶりにダンサーの疲労感を味わいました(笑)。

撮影/森清

今回はまずきっちりと構成を決めて、それに基づいて簡単に動いてもらった素材を集め、編集して流れを確認し、各自が再調整をして本番用の踊りを撮影したのです。YouTubeに上げる以上、だらだらと長いものはそぐわない。また、カッコよく見えるように、編集で演出している踊りの動画はいくらでもあるので、それと差別化するためにも「編集に頼らない」ということも方針にしていました。

映像作品とはいえ、私たちのような踊りのプロフェッショナルが、スマホの小さな画面にふさわしいスピード感を軸に考えて作品を創ることはあまりなかったことだと思います。これはコロナを経験することによって生まれたもの。「inovate」ということにも繋がるのかな、と思うのです。

ーー「#Chainof8」については、これ以上筆を進めるより、動画を見て「圧倒的身体性」や、草刈さんたちの目指す「踊り」を感じてもらうほうがいいだろう。