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大戸屋と大株主が「調理法」めぐって大ゲンカ…勃発した買収騒動のウラ側

「曖昧な資本提携」が終わりを迎える

このところ株式市場で資本の論理を前面に押し出すケースが増えている。大戸屋の大株主であるコロワイドは、当初は大株主として経営改革を求めていたが、大戸屋との交渉が決裂したことから、TOB(公開買い付け)の実施に戦略を切り換えた。昨年はアスクルの大株主であるヤフーがアスクルの経営トップ再任に反対するなど、株主としての意向を前面に出して話題となった。

日本では双方の関係性が曖昧なまま資本関係を結ぶケースが多く、株式の持ち合いといった奇妙な風習もあった。だが、経営権を持たない形で企業の株式を保有するというのは、純然たる投資目的でもない限り、合理性に欠ける。株主としての意向を経営に反映させたいのなら、最低でも子会社化を実施する必要があり、最終的には100%の買収を行わなければ意味がない。今後、中途半端な資本関係という日本独特の商習慣は消滅していくだろう。

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大戸屋 vs. コロワイド

外食大手のコロワイドは2020年7月9日、大戸屋ホールディングスに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。コロワイドは大戸屋創業家から株式を譲り受けており、約19%のシェアを持つ大株主である。大戸屋は2019年4月に実施した値上げが裏目に出ており、客数が大幅に減少。2020年3月期決算は11億4700万円の最終赤字に転落している。

当初、コロワイドは大戸屋に対して合理化によるコストダウンを要求していたが、大戸屋の経営陣がこれに反発し、交渉はうまく進まなかった。

大戸屋は創業以来、店内で調理を実施するやり方を基本方針としており、当初はこうしたこだわりが功を奏しリピーターを獲得してきた。だが店内調理を実施するには余分な人件費がかかるため、コスト構造的には不利になる。上昇する人件費をカバーするため、同社はやむを得ず値上げを実施したが、これが業績悪化の引き金を引いてしまった。