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新時代の交通サービス「MaaS」は、コロナ後の「切り札」だった

高齢社会の問題を解決できる可能性も
ここ数年来、ビジネスシーンでバズワード化した「MaaS(マース)」。けれどそれって一体どんなサービスなのか?
東急が伊豆半島を舞台に展開する「日本初の観光型MaaS」のプロジェクトのリーダーを務め、このほど『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』を上梓した森田創氏に、「21世紀の産業の交差点」としてのMaaSのポテンシャルについて伺った。

「MaaS」って一体なんですか?

――単刀直入に伺います。最近よく目にするようになった「MaaS(マース)」って、一体何なのでしょう?

森田 MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字をとった略称で、スマートフォンで鉄道、バス、タクシーなど、あらゆる公共交通がシームレスに利用できるサービスです。

世界でもここ5年ほどで始まったばかりの非常に新しい産業で、日本では2年くらい前から、盛んに話題にあがるようになってきています。

MaaSには、大きく分けて「観光(地方)型」と「都市型」がありますが、どちらも事前にスマホで交通チケットを決済していれば、鉄道であれ、バスであれ、乗換えるたびにお金を払うことなく利用できる便利さが特徴です。

伊豆MaaS交通&観光イメージ図
 

乗り物だけではありません。観光型で言えば、観光施設の割引入場券も買えるようにすることで、さらなる観光客の周遊促進を行うことができます。都市型で言えば、ケーブルテレビやセキュリティなど、日々の暮らしに紐づくサービスと交通を組み合わせた商品を提供することで、毎日の生活をもっと便利にすることができます。

伊豆Maas 各種デジタル商品

――世界でもこの5年くらいの出来事だということですが、MaaSは初めどこで開発されたサービスなのでしょうか。

森田 フィンランドです。2015年から、首都ヘルシンキで「Whim(ウィム)」というサービスが始まっています。

フィンランドは日本と同じくらいの国土で、人口が500万強しかなく、少ないドライバーや車両を最大限に活用することが社会的な要請としてありました。Nokiaに象徴されるように、もともと携帯電話やITにかかわる技術的蓄積があり、その高いITスキルを利用してできたのが、フィンランド型のMaaSです。

――MaaSには、とりわけ公共交通にかんして、「最小限のリソースを最大限に利用する」役割も期待されているのですね。

一方、日本では2年くらい前から話題にあがるようになったということですが、日本でMaaSが求められた背景はどのようなものでしょうか?

森田 MaaSが日本でバズワード化した背景として二つのことが言えると思います。

一つは、私たち東急がMaaSの実証実験を行っている伊豆では特にそうなのですが、折からの人口減少・少子高齢化により、地方部ではバスやタクシー会社の人手不足が深刻化しています。こうした日本全国の地方部に共通する課題を解決するという社会的要請があったがゆえに、MaaSへの期待が高まったのではないかと思います。