〔PHOTO〕gettyimages

「息ができない…」白人警官による「黒人殺害・暴行」が繰り返される理由

警察改革と大統領選の行方

警察官による黒人殺害をどう見るか

今年5月にミネソタ州ミネアポリス近郊で、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官による不適切な拘束方法によって死亡した事件をうけて、警察による暴力への抗議と法執行機関の改革を求めるデモ行進が全米各地で繰り広げられた。

フロイドさんが8分以上にわたって頸部を膝で押さえつけられて死亡した映像がソーシャル・メディアを通して世界中に拡散したが、フロイドさんが発した「息ができない」という言葉は、2014年に同じく白人警察官による過剰な暴力によって逮捕中に窒息死したエリック・ガーナーさんが発した言葉と同じだった。この言葉は現在、アメリカにおける警察の暴力に抗議するための表現として使用されている。

〔PHOTO〕gettyimages
 

そして、警察官が黒人を殺してしまう事件が度々発生している現状は、偶然暴力的な警察官が存在したという個別的な事象というのではなく、警察の暴力的で人種差別主義的な文化の表れではないかとの指摘も行われるようになっている。

アメリカでは1964年の公民権法と65年の投票権法を受けて人種差別は法的には存在しなくなったとされているが、人種差別の意識と行動は、現在も強固に存在していると考えられている。

黒人の間には警察に対する強い猜疑心が存在しており、2019年のピューリサーチセンターの調査によれば、警察については黒人の84%、白人の63%が、刑事司法制度については黒人の87%、白人の61%が黒人を公正に扱っていないと回答している。

また、警察官はしばしば「人種的プロファイリング」と呼ばれる、特定の人種に対する取り締まりを行っているのではないかと指摘されている。人種的な要因によって不当に警察に止められたことがあると世論調査で回答したのは、黒人全体では44%、黒人男性では59%に及んでいる。

また、警察官によって黒人が殺される事件は「孤立した事件」か、それとも「大きな問題の表れ」かを問うた同年のピューリサーチセンターの調査によれば、アメリカ国民の60%が大きな問題の表れだと回答している。

だが、興味深いのは、警察官のうち67%はそれらを「孤立した事件」だととらえており、「大きな問題の表れ」と回答したのは黒人警察官の中でも57%にとどまり、白人警察官の中では27%、中南米系の警察官の26%に過ぎないことである。

また、警察の取り締まりに対する大規模デモは広く国民の支持を得ているにもかかわらず、警察官に対するバイアスに基づいて行われていると回答した警察官の割合は68%に及んでいる。これらの数字は、一般国民と警察官の間に、とらえ方の相違が顕著に存在することを示している。

繰り返し発生してしまっているこれらの事件はまさに悲劇で痛ましいものである。この認識は、大半の警察官にも共有されているはずである。にもかかわらず、暴力的な取り締まりをしてしまう警察官がいるのはなぜかを考える必要があるだろう。