なぜリベラルは負け続け、いつまでも現実を変えられないのか?

「百田尚樹現象」から見えてくること
現代ビジネス編集部 プロフィール

なぜ右派は同じ話を繰り返すのか

――百田さんご本人は「この本が面白いのは百田尚樹について書いた4分の1ほど。残りの4分の3は石戸氏の考える保守論客の変遷」とツイートされていますね。

そうそう。新鮮な感想で、そこが面白いところです。そういう評価になるのは、やっぱり第二部でつくる会を書いているからだと思います。小林さんの「(百田さんは)わしがやってたことの真似をしてるだけ」という厳しい評価もありますよね。

――百田さんは「つくる会」の流れの連続と見られがちですが、じつは断絶だったというのも興味深い点でした。

みんな連続を見がちなのだと思います。僕からすると、今の右派で一番面白いのは、歴史を重んじているように見えて、歴史から断絶していることです。だから、彼らは同じネタを何度も使える。例えば南京大虐殺、慰安婦問題、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム……今もなお、右派が同じ話を繰り返すことができるのは、現在の右派が歴史から断絶していて、常に自分たちにとって、一番新しいと思っているからでしょう。その一方で、もちろん連続している部分もあります。

――それはなんでしょうか。

右派の方が読者やマーケットを大事にしてきたことです。リベラル派がメディアを牛耳っているなら、俺たちはマーケットを作ればいいと、数十年かけて開拓してきた。藤岡さんの『教科書が教えない歴史』は120万部、小林よしのりさん『ゴーマニズム宣言SPECIAL 新戦争論』は70万部。とにかく書店で本を買ってもらうことが最大のインパクトだと平成の右派は考えてきた。百田さんもそこはすごく大切にしています。逆にリベラルはマーケットを全然意識してこなかったと言えるでしょう。

――マーケットから目を背けてきたと。

それは嫌儲の現れでもあるし、いいものさえ作ればあとは勝手に広がるし、買ってくれるといった具合にマーケットや読者を意識してこなかった。もっと言えば、おろそかにしすぎてきたと言えます。その間に右派は読者第一主義、マーケットファーストで市場の獲得に成功した。それがいまになって大きな差となって現れてしまっている。