イラスト/ジェントルメン中村

立ちはだかる120億円の壁…半沢直樹「伊勢島ホテル事件」を振り返る

5分で分かる「半沢直樹」⑤

7月19日、いよいよドラマ『半沢直樹』がスタートする(TBS日曜劇場/夜9時~)。2013年に社会現象となった人気作の続編だが、7年ぶりということもあって、「半沢直樹…どんな話だったっけ?」「そもそも見てなかったんだけど…」という方もいらっしゃるだろう。

本記事では、書評家の村上貴史さんに、『半沢直樹』の魅力を、ゆる~く解説してもらう。ドラマや原作未読の方も是非お楽しみください!

 

120億円の損失

さて、2です。《半沢直樹》シリーズの第2弾、『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』ですね。

この作品でまず着目すべきは、壁です。半沢直樹が乗り越えるべき壁、これが第1弾の『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』と較べて高くなっているんです。どのくらい高くなったかというと、倍返しにちなんで2倍――というわけではなくて、2倍をはるかに超えた24倍です。10倍返しどころの騒ぎじゃないんですよ。そして半沢直樹は、自分の落ち度ではないのに、この壁に立ち向かわされることになるのです。

イラスト/ジェントルメン中村

24倍の壁とは、具体的には120億円の損失を抱えた伊勢島ホテルの建て直しです。京橋に本社を構える伊勢島ホテルは、高級で老舗ではあるんですが、だからといって企業として盤石であるかというと、そうでもありません。伊勢島ホテルが、創業一族の湯浅家による世襲制で営まれていることを快く思っていない者が上層部にいます。はっきりいってしまえば、先代の湯浅高堂から経営を引き継いだ湯浅威社長に不満を抱き、その座を奪おうと画策している輩がいるんです。それが羽根という専務。

で、この野心に満ちた人物が功を焦って運用で利益を上げようとして裏目に出て120億円の損失が出てしまったという次第です。要するに、会社内にゴタゴタの火種があり、それが巡り巡って本業以外のところで大損失を出すという、困った状態にある企業なのです。しかも反省の色、ないですし。

このまま沈んでいってもまあ自業自得ではあるのですが、東京中央銀行も伊勢島ホテルに融資している以上、知らんぷりというわけにはいきません。それどころか、一蓮托生だったりします。伊勢島ホテルへの融資に回収懸念が生じた場合、東京中央銀行は巨額の「引当金」を積まねばならず、それはおそらく数千億円に上って銀行の業績を直撃するという仕組み。頭取の首さえ危うい状況に追い込まれてしまうんです。なんとしても伊勢島ホテルを建て直さなければならないのです。