「中国の香港政策に口出しするな」「植民地時代はもっとヒドかった」のウソ

「愛国と批判」の精神が輝いていた
ふるまい よしこ プロフィール

だが、主権返還後は親中派を中心にその姿勢に疑問を唱える声も上がり続けてきた。

1999年にも台湾の李登輝・元総統が述べた「二国論」(中国と台湾はそれぞれ特殊な関係にある国であるとする主張)を紹介する番組を製作し、台湾政府関係者のインタビューを放送。「二国論」や李登輝氏を敵視する中国政府の大批判を引き起こした。

当時の広播処長もまたメディア叩き上げの張敏儀氏(女性)だったが、「報道の自由」をタテに介入を受け付けなかった結果、直後に張氏は貿易担当というまったく関係のない部署に異動させられている。実際にRTHKを民営化するという議案が立法会で議論されたこともあった。

 

公共放送で「政権批判」ができた

今回、香港に対する中国政府の干渉が強まるなか、RTHKにもこれまで以上の圧力がかかったと見られる。多くの人たちに惜しまれつつシーズン最後の撮影を終えた「頭条新聞」ホストの呉氏自身もまた、国家安全法下の逮捕予定者リストに入っているという噂もある。その後さらに、梁・広播処長と製作責任者の副処長の1人は、ちょうど今年から来年にかけてそれぞれの契約が切れるのを最後に契約更新はせず、その職を去ることを明らかにした。

呉志森氏はこうやって間違いなくRTHKの政策方針が変わっていくはずだと述べている。

「他のプラットホームから、ウチに移って『頭条新聞』を続けないかというオファーもある。だが、それでは意味が違う。政府が税金を投じて運営する、れっきとした公共放送局であるRTHKが、市民の気持ちを代弁して権力者を風刺し、政府高官らを揶揄する番組を持てること自体が大事なんだ。それは社会の文明度、そして包容力を量るバロメーターなのだから」